【ツール・ド・熊野2019】個人総合6位の平塚「沢田のTT優勝と孫崎2位のほうが価値ある」

チーム最上位6位の平塚「自分の結果より若手の活躍に価値」

photo: Satoru KATO / Keitaro SAWADA

数日間に渡りレースを重ねていくステージレースでは、チームとしての様々な思惑がありますが、一般的に個人総合の順位が問われます。

第1ステージでクライマー石橋学が大きく遅れたため、ツール・ド・熊野2019でのチームオーダーであった、個人総合上位を狙う役割を担ったのは、平塚吉光となりました。

登れる脚と下りでの技術、レースの勘所を感じとれる経験値。今何をなすべきかを判断し、実行に移せる平塚は、チーム力の要ともなっています。

チーム最上位の個人総合6位、UCIポイントも獲得し、チームのオーダーを確かにこなした平塚。チームキャプテン、そしてチーム最年長という立ち位置から、このツール・ド・熊野2019を振り返りました。


「第1ステージで、予想はしていたんですが、集団がばらばらになってしまい、その時点で石橋がいなくなってしまいまして。


なので、そこからは僕がやることになりました。体調が悪かったということではないのですが、レースの展開自体と、チームメイトの助けとがあって、第2、第3ステージと走りきれました。

ただ、いままで走った熊野より、上位を狙って走っていたときよりも辛くて。ただ辛くて。それでも最低限、自分の能力をできる範囲で、詰めて詰めて、をやってきました。

全部の登りは追いつけていましたし、熊野のコースを知っているということもあって、下りではタイムを詰められましたし。今日(最終日)も、チームにうまく位置取りをさせてもらいました。



第1ステージ、僕以外先頭集団に残れなかったのは、課題かなと思いますよ。ただ、絶望的なものではなかったと思います。もちろん失敗もあるのがレースですし、チームですし。

でもただ失敗、というだけじゃなく、それぞれの能力は出していたのですが、僕も含めて出し切れなかったということです。それは簡単なことではないですからね。


チームとしては、「個人総合の上位を狙う」というわかりやすい目標があるといい。

でもこのレースでは、一番年上の僕の総合6位より、沢田のステージ優勝、孫崎(大樹)の2位のほうが、価値があった。



プロローグで沢田(桂太郎)が優勝できたのは大きかった。
沢田は実力はあるのに、ロードでは結果を出せず、親友でライバルの今村(駿介)にJプロツアーの優勝を先に越されてしまっていました。そんな中で、UCIレースでリーダージャージを着て、UCIポイントを獲ったという意味では、沢田にだけでなく、チームにしても大きかった。

孫崎が今日、勝てるチャンスがあると自分で感じられたのも大きかった。昨日のミーティングでも、そういう展開になったらやってみろとのオーダーの中、優勝できなかったまでも、ギリギリまで本当にできた。これは彼にとっても、日本にとってもいいことだと思います。

僕の守った6位より、やれと言われて獲った沢田の1位、孫崎の2位のほうが絶対に価値がある。ただそのなかで、僕もチームの目的へとやるべきことをやりました。我慢しました。だからこその総合上位。わかりやすい。



僕は最低限しかできなかったとは思いますが、チームに守ってもらったおかげで、この4日間、我慢して、我慢して走り続けられました。

今日の僕は得たものもないですが、変わりに失うものもなかった。そういう意味ではチームにとって良かったなと思っています」(平塚)


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