【オムニアム全日本選手権2019】窪木2位、近谷3位、橋本4位、チーム内牽制で勝利逃す
オムニアム全日本選手権2019/窪木2位、近谷3位、橋本4位、勝利逃す
(近谷、窪木)
レース名:2019全日本自転車競技選手権大会オムニアム
開催日:2019年9月22日(日)
開催地:静岡県・JKA250
TEAM BRIDGESTONE Cycling参加選手:
窪木一茂、近谷涼、橋本英也
photo: Makoto KOGURE
全日本選手権オムニアムに出場した3名のTEAM BRIDGESTONE Cycling、窪木一茂が2位、近谷涼が3位、橋本英也が4位となり、チームは全日本選手権の優勝を逃しました。最終種目のポイントレースでのチーム員同士の争いが仇となりました。
***第1種目 スクラッチ 10km(40周)***
10kmゴールの先着順に順位がつくスクラッチ。レース終盤に一人の選手が独走で逃げ初め、最終周回になるまで半周以上の差で逃げ続けました。ブリヂストン選手3名を含む集団は最終周回から猛烈な追い上げ。しかし結局先行選手には届かず、窪木が2位に。
[動画 1=窪木(白シューズ)、2=橋本(黒シューズ)、3=近谷(青シューズ)]
「あの逃げは、逃げさせてもいい、追う必要はないなと思って、ゴールに備えていました。結果2位だったので悪くないとは思うんですが、ちょっと気持ちを引き締めていきたいですね」(窪木)
(左上:橋本、中央:窪木)
「オムニアムは単品の種目ではないので、優勝と2位と差はホントわずかしかないので。このスクラッチはできるだけ上位を行く走りですね」(橋本)
「ゴールスプリントに向けて、最後ちょっと前に出て、残り3周で組み立てようと思ったんですけど、ペース配分がうまく行きませんでした。そこは課題として次に修正して」(近谷)
【スクラッチ リザルト】
1 関根論容(日本体育大学)
2 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
3 岡本隼人(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
4 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
6 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
(近谷)
*** 第2種目 テンポ 10km(40周)***
5周回目より周回トップ通過の選手にのみポイントが与えられるテンポレース。スタート後の混沌とした状況のなか、近谷が、ポイント開始周回の2周目から一気に先頭へ出て独走。集団はこれを容認しますが、結果、最終5周目になるまで近谷はトップを独走、ポイントを一人で獲り続けます。
残り4周で、橋本、窪木を含む4名が近谷を捉えるべく上がり、近谷はそこで捉えられて後方に下がりますが、ポイントのほとんどを獲得した近谷が1位に。
[動画 1=窪木(白シューズ)、2=橋本(黒シューズ)、3=近谷(青シューズ)]
「序盤から行こうと思って決めていて、早い周回から行ったら、序盤はまわりも結構控えめで、一気に差が開いたので、それでイケるかなと。
一ヶ月前ぐらいは調子悪かったんですが、今はこうやって少しずつ上ってきています。先週と今週のトラックの2週は、とても大事だと思っていたので、残りもがんばります」(近谷)
(近谷)
「チームメイトだから行ってもらっていいというのはあったんですけど、実際の試合だったらああいう展開は良くないと思います。次でしっかり1位を取れる走りをすれば『さっきの走りは良かったかな』と思えるので、つぎで上位を狙いたいです」(窪木)
「今日、喉が痛くてコンディションがあまり良くなく、そのわりには良かったんじゃないかなと思います。(近谷の逃げに対して?)むしろ逃げてくれてよかったです。そういう展開だったということですよね」(橋本)
【テンポレース リザルト】
1 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)32pts
2 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)2pts
3 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 1pts
(左:橋本、中央:窪木)
*** 第3種目 エリミネーション ***
第2種目が終わった時点での、総合トップは76ptsで窪木、2位に近谷が70pts、同じく70ptsで橋本が3位に続きます。
スタート数周後から、2周回に1度、最後尾の選手が落とされるエリミネーションが始まりました。
残り6名となるまでレースは進み、窪木、近谷、橋本のブリヂストン3選手に加え、愛三工業レーシングチームの3選手。前方を走っていた橋本は、後方から追い上げる選手の速度とタイミングを見誤り、ここで落ちました。
(橋本)
残るブリヂストン2選手は、二人で引き合いながら速度を上げ、愛三工業の2選手をほぼ置き去りにして、残り2名は前に窪木、後ろに近谷。最終周回、近谷は外から窪木を追い上げますが、内側を走る窪木のコーナースピードは近谷を近づけませんでした。
[動画 1=窪木(白シューズ)、2=橋本(黒シューズ)、3=近谷(青シューズ)]
「あの位置で大丈夫かなと思っていたら、後ろから来てしまったので、僕の油断でだめでした。判断ミスでした。ポイントレースは、チャンス狙ってがんばります」(橋本)
「エリミネーションで2位は、これまでベストのリザルトです。最後の2人になった展開が初めてだったので、うまい戦い方ができなかったので、これを教訓にして、次は勝てるように」(近谷)
「ようやくエンジンがかかってきました。対戦相手がチームで、気のしれた仲間なのでやりにくいんですが、勝負ですし、応援してくれている人がいるので、手を抜く訳にはいかないです。今年最後の全日本なので優勝を狙いたいです」(窪木)
【リザルト エリミネーション】
1 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
2 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
3 渡邊翔太郎(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
6 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
(窪木)
*** 最終競技 ポイントレース 25km ***
最終種目のポイントレースまでに、窪木がトップで116pts、2位で追う近谷が108pts、橋本英也が3位と同ポイントの100ptsで4位です。
ポイントレースは、5周回に1度のポイント周回で、1位から4位まで順に5、3、2、1ptsが与えられるルール。先の総合ポイントに、ポイントレースで獲得したポイントを加えていきます。
そして最終周回で獲得できるポイントは2倍なので1位なら10pts、途中に周回遅れを取れば20ptsを獲得できるので、ポイントを積み重ねるという意味で総合順位の一発逆転が簡単に起こる種目です。
そしてこのレースでその逆転が起こりました。引き起こしたのは、特に窪木と橋本との争いでした。
(窪木、橋本)
窪木と橋本は互いにマークし合っているように見えました。特に中盤以降、二人は一緒にいる時間が群を抜いて長かったのは事実です。
先のリオ2016オリンピックで、オムニアムの出場枠を競った窪木と橋本。これには窪木が出場し、橋本は競輪選手になる道を選びました。2018年から同じチーム、TEAM BRIDGESTONE Cyclingで活動する二人です。
オリンピックランキングでの日本のオムニアム順位は9/22現在7位。上位12位内であれば出場枠が1人分獲得できるため、日本は東京2020オリンピックに1枠を確保できましたが、最大出場枠も1名のみ。
こういった歴史や背景が、レース中の二人を争わせた理由だったかもしれません。そういえば今日のブリヂストン選手3名からは、互いへのライバル意識をとても強く感じられました。
(窪木、橋本、近谷)
全100周中残り20周回、先行した5名の逃げを特にブリヂストンで連携して追うわけでもなく、窪木と橋本は見合い続けた結果逃げられ、その中の暫定4位に落ちていた岡本隼選手(愛三レーシング)に周回遅れを獲られました。これで岡本選手が20ptsを加え窪木を逆転。
残りのポイント周回は2回、その1回を橋本がトップで獲り5点で118pts、次に入った窪木は3点で126pts。しかし岡本選手は130ptsとリード。
(窪木)
最終周回で窪木がトップなら、岡本選手が2位でもダブルポイントで勝利できるのですが、窪木と橋本と岡本選手の3名は牽制しあい、別の選手が先行しても追いません。
岡本選手が追わないのはわかるのですが、これでは窪木は勝てません。先行選手がそのままゴールし、岡本選手がそのまま勝利、窪木は10ptsを取れず2位となりました。
[動画 1=窪木(白シューズ)、2=橋本(黒シューズ)、3=近谷(青シューズ)、21=岡本選手(青ジャージ)]
「序盤に点数とっていたし、余裕があると思っていたので、岡本選手を行かせてもギリギリ勝てるかなと思っていました。チーム内でも争いをしていて、結構体力も削られてしまっていたので。スタート前に得点差を細かく把握せず思い込みでレースを走ってしまったこと、レース中に感情移入してしまった事が敗因ですね。でも次が見えてますから...」(窪木)
(左:窪木、右:橋本)
「前半の種目では思ったようなリザルトが出ず、優勝するためにはラップ(周回遅れ)が必要だなと思って。狙うためにアタックしたんですけど、逃げを決められずに。
ブリヂストンが交代交代でアタックしていれば、誰かしらのアタックが決まったと思うんですけど、なのにブリヂストンが行って、それをブリヂストンが追ってという感じに進んで。
優勝か敗者か、なのはわかるんですが、いつもどおりバチバチな展開だったので。あれはやりたくなかったんですけど。見合いすぎて勝てなかったのは痛いですね」(橋本)
「ラップを狙って何回か行ったんですけど、結局決まらなくて。ただ何度もトライできたのが良かったかなと思います。タイミングが良ければ決まっていた逃げだと思うので、逃げの展開でもっと速いスピードで自分から逃げられる、そんな走りを練習して戻ってきたいです」(近谷)
(窪木、岡本選手、近谷)
残念ながら今年はオムニアムの全日本チャンピオンを獲得できなかったTEAM BRIDGESTONE Cycling。来年の東京2020オリンピック、オムニアムの代表の座こそ、チームブリヂストンは確かに手に入れます。皆様の応援、よろしくお願いいたします。
【最終リザルト】 2019全日本選手権オムニアム
1 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)130pts
2 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)126pts
3 近谷涼(TEAM BRIDGSTONE Cycling)119pts
4 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)118pts
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