W杯開催中! 飯島誠のトラックレース総ざらい 【Vol.4 チームスプリント】
2020トラックワールドカップは第2戦までが終了し、第3戦は、11月29日(金)より香港で開催されます。
三度のオリンピック出場経験がある飯島誠が、オリンピックに採用されている6つのトラック種目の見どころをお伝えする本連載も折り返し。4つ目に紹介するのは、短距離のチーム種目である「チームスプリント」です。
走順によって
求められる能力が違う
チームスプリントは、男子は3名、女子では2名がチームとなり、同時にスタート。スタートから一周ごとに1人ずつ離脱して、最終走者のフィニッシュタイムで競われます。国際レースだと、バンク1周の距離が250mなので、男子が750m、女子が500mで勝負が決する、超短期決戦が、チームスプリントの特徴と言えます。陸上競技の4×100mリレーでも、スタートの得意な選手を1走に置いたり、コーナーリングが上手な選手を3走にしたりと、選手の能力によって走順を決めますが、チームスプリントでも同じです。
男子の3名の場合で説明すると、まず1走は、どの国もスペシャリストが走ります。ゼロスタートから、いかに早くトップスピード(70km/h超!)に持っていけるかという、チームスプリントの1走に特化した天性の能力が求められるからです。
そして2走は、3人の中で一番能力の高い選手が任されます。その理由は3人の中で最もキツイ走順だからです。ゼロスタートのスペシャリストから離れないように、1周目を全力で走り、1走が離脱したらすぐに自分の番となり、250mを全力でもがき切らなければなりません。
最後の3走は、3人の中でもっとも長い距離を走ることもあり、瞬発力と持久力のバランスに優れた選手が適任とされています。
1走はスペシャリストなので、この種目にしか出場しない選手がほとんどですが、2,3走はケイリンやスプリントの選手が務めるケースも多いです。近年この種目も高速化が進み、ずば抜けた選手が1人いたとしても勝てなくなりました。1走から3走まで、穴のないトータルバランスに優れたチームが勝利を手にします。
1つのミスが命とり
スタートからまばたき厳禁!
チームスプリントでまず注目していただきたいのが、スタートです。
男子でも約42秒で勝負が決するため、踏み遅れてしまったり、タイヤがスリップしたりと1つミスを犯してしまうと、もう取り返しがつきません。それゆえの選手たちから漂う緊張感は、観客席にもビシビシと伝わってきます。
とくに1走のスタートは最重要。会場によってスタートブロックが異なることも多いので、そのクセや感覚を前もって入念に確認します。また、スタートのテクニックとして、陸上の短距離選手がスターティングブロックを蹴って飛び出すように、スタート時にペダルを一瞬逆回転させて、タイヤをスタートブロッグにぶつけ、その反動で前に飛び出すということを行っています。
ぜひ、そんな点にも注目して観ると面白いのではないでしょうか。
< 今後のトラックレース開催スケジュール >
2019年
11/29~12/1 トラックワールドカップ第3戦 香港
12/6~12/8 トラックワールドカップ第4戦 ニュージーランド・ケンブリッジ
12/13~12/15 トラックワールドカップ第5戦 オーストラリア・ブリスベン
2020年
2/26~3/1 世界選手権大会自転車競技トラック種目 ドイツ・ベルリン
<レースレポート>
トラックワールドカップ第1戦(ベラルーシ・ミンスク)
「女子スプリント/太田23位」 ⇒ https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/11/191102-TRK-WC1-Sprint.html
「女子ケイリン/太田10位に」⇒ https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/11/191103-TRK-WC1-Keirin.html
トラックワールドカップ第2戦 イギリス・グラスゴー
「太田と今村が善戦」⇒ https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/11/191110-trkwc2.html
(写真提供/More CADENCE)
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