男子オムニアム/橋本11位、「スピードがワールドカップより2km/h速い」【2020UCIトラック世界選手権】


レース名:2020 UCI TRACK CYCLING WORLD CHAMPIONSHIP/2020 UCIトラック世界選手権
種目:男子オムニアム
開催日:2020年2月29日(土)
開催地:ドイツ/ベルリン ベロドローム

ドイツ・ベルリンにて開催の2020トラック世界選手権で2月29日、男子オムニアムにTEAM BRIDGESTONE Cyclingの橋本英也が出場し、11位となりました。これまで橋本が好成績を収めてきたワールドカップより、さらに高い速度域でのレース展開。東京2020オリンピックに向けた各国選手たちの仕上がりに、橋本は8月に向けさらに鍛錬を積むべく気を引き締めました。



トラックでの複合競技であるオムニアム。4種目から得られるポイントを合計し、その総合ポイント数で順位を競います。最初3種目は順位ごとにポイントを得られ、その合計ポイントに、最終種目のポイントレースで獲得したポイントを合計します。

橋本は今シーズン、W杯第5戦・オーストラリア大会では銅メダルを獲得しています。しかもそのレースでは、落車を喫しなければ優勝もあり得たほどの走り。その高い走行能力と巧みなレースセンスは、世界の強豪が連なる世界選手権ではどこまで通用するのか、ここに注目が集まっていました。



第1種目 スクラッチ ーー 10位

ロードレースのように先着順に順位がつくスクラッチ。10km=40周を走ります。

序盤数周の様子見が終わると、全体のペースは目に見えて速くなります。その速い速度の集団から選手が抜け出しアタック、それを別の追走が追いかけて捕まえると、さらに別の選手がアタック。展開は目まぐるしく、そしてスピーディな展開です。

レース終盤に、2名の選手が抜け出し、互いに協力し合いラップ(周回追い越し)を仕掛けます。この2名を追いかける追走、そしてその後に集団。橋本は後方の集団の先頭付近で、後ろを引く形になるのも構わず何度も追いかけますが届かず、集団前方から抜け出せずに40周回を終えました。結果は10位。



第2種目 テンポレース ーー 9位 総合11位

2周目以降の各周回、トップ通過の選手のみ1ポイントを獲得できるテンポレース。10km=40周回を走ります。上位獲得のためには、先頭を走り続ける、あるいはラップで得られる20ポイントを獲得しなくてはならないため、体力的にも厳しい種目です。

序盤から1名の選手が抜け出し、先頭ポイントを独占します。その選手を追う形で数名の追走、そして集団という形に。橋本は集団のなかで機会を伺っています。

中盤に2名の選手が抜け出しラップを達成、先頭が集団となった時点で橋本はチャンスを逃さず先頭ポイントを獲得。その勢いを保つべくそのまま先頭で展開していましたが、全体の速度も上がり集団が橋本を含む先頭を吸収。橋本はその後、集団から抜け出せずに9位に。


第3種目 エリミネーション ーー 6位  総合8位

昼食の長い休憩を挟んだ後の第3種目、毎2周回で最後尾の選手が除外され、最後の1名となるまで走るエリミネーション。

このレースで橋本は序盤から常に前方に位置しています。最後尾付近でストレスとパワーを浪費するのではなく、「だったら最初から前にいた方が」(橋本)との判断です。

その判断が功を奏し、残り選手が10人ほどになっても橋本は前方に。ただ先頭に出るということは、風の抵抗を一人で受けるため体力は消耗していくはず。それでも着実に終盤まで残り、残り6名となっていよいよ速度が上がってきたときに、そこまでに脚を使っていたであろう橋本が除外され、6位に。



最終種目 ポイントレース ーー 総合11位

ここまでの3種目それぞれの順位ごとに得られたポイント合計に、最終種目ポイントレースでの獲得ポイントを合わせ総合順位とします。

10周に1回のポイント周回で、1着が5、以下2着が3、3着が2、4着が1ポイントを獲得。最終周回は倍ポイントとなります。またラップを達成すると20ポイントを得られます。そのためこの種目をうまく走れば、大量ポイントを獲得でき、逆転も不可能ではありません。スタート前の橋本の順位は8位、トップとは40ポイントほどの差です。25km=100周を走ります。

序盤は最後尾からスタートした橋本。最初の10周は後方におり、そこから前に上がっていくタイミングを掴みきれなかった橋本。中盤になり前方に上がることもありましたが集団に取り込まれることが多く、ポイント取得に絡むことなくレースを終えました。総合結果は11位。「ポイントレースで順位を落としたのは初めてでした」(橋本)



レース後、記者からの質問に答えた橋本。

ーーこのレースの速度は、目に見えて速いものだった

「平均的なスピードが(ワールドカップに比べて)2km/hぐらい速かったんじゃないかなと思います。スピード域が高くて、他の選手たちも仕上がっていて。そこらへんの体力差を、今回は身をもって感じました。

世界選手権レベルのスピードだと、後ろの集団にいても体力を使う場面が多く、ポイント周回などで前に行かなくてはいけないときに後手を踏んでしまって。テンポレースも、ポイントレースもすごく苦しいレースでした」



ーーエリミネーションでは積極的に前にいた

「エリミネーションは、前のW杯で転倒していたので、コーチからも『自分の行ける場所を確保して、囲まれないように』とアドバイスがあったので、であれば前に出てしまおうと思って走りました。今回は1番まともに走れたんじゃないかなと思います」


ーー代表候補選手に選ばれた場合、本番までにどう備えるか

「オリンピックまでは、シンプルに言うと体力を上げなければと。有酸素能力を高めていきたいと思います」

この世界選手権は振るわない結果でしたが、ポイント数の計算上は、日本は東京2020オリンピックでの出場枠を得られる見込みです。日本の代表選手として当日に橋本がスタートラインに立つことになるのならば、さらにスタミナをつけ、自信を持った彼の走りを見られることになるでしょう。ご期待ください。



【リザルト】2020トラック世界選手権 男子オムニアム 2020/2/29
1 THOMAS Benjamin (フランス)
2 van SCHIP Jan Willem(オランダ)
3 WALLS Matthew(イギリス)
11 HASHIMOTO Eiya 橋本英也(日本)

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