チームの巧みなレース運びで最終局面に挑むも今村5位、孫崎6位に【経済産業大臣旗ロード/Jプロツアー2020最終戦】
チームの巧みなレース運びで最終局面に挑むも今村5位、孫崎6位に【経済産業大臣旗ロード/Jプロツアー2020最終戦】
(孫崎、今村)
レース名:経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ Day-2
開催日:2020年10月11日(日)
開催地:群馬県・群馬サイクルスポーツセンター
距離:6km x 30周 = 180km
TEAM BRIDGESTONE Cycling 参加選手:
石橋学、今村駿介、黒枝士揮、沢田桂太郎、橋本英也、近谷涼、徳田優、孫崎大樹
TEAM BRIDGESTONE Cycling 2020シーズン最後のロードレース公式戦となった《経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ》にて、今村駿介が5位、孫崎大樹が6位となりました。最終段階までチーム一番の強みである連携力で攻めましたが、表彰台には及びませんでした。
(photo: Satoru KATO, Kanako TAKIZAWA, Team Camera)
さまざまな状況、そして想いが錯綜した2020年のロードレースシーズン。
レース数こそ少なかったものの、そのためにすべての国内チームが、国内最高峰ロードレースシリーズであるJプロツアーに全力を尽くした年度となりました。
そのシリーズを締めくくるのが、群馬サイクルスポーツセンターにて行われる経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップです。
総距離は180kmと、通常Jプロツアーレースの倍近く。周長6kmのコースは、アップダウンとコーナーの多いテクニカルなもの。これを30周回走ります。
レースの序盤、集団がいくつか単独の逃げを吸収したのちに、5周目ほどで5名の選手が先頭グループを作ります。この逃げを集団は容認し、1〜2分離れて追う形でレースは一旦落ち着きます。
ここまでブリヂストン選手たちの数名は、積極的に集団前方に位置して全体の速度コントロールを行なっていました。全体の速度が上がった中盤以降、特に先頭付近で睨みを利かせていたのが石橋学と黒枝士揮、そして橋本英也の3名でした。
(橋本、石橋、黒枝)
石橋は全体の速度を引き上げるため、チームのエンジンとなって脚を使います。黒枝は石橋と協調してペースコントロールを行いながらも、集団前方にブリヂストン選手が無理なく入り込める場所を作る動きを行なっていました。
この石橋と黒枝、2人の動きはチームの今日の作戦への布石でした。
今日のブリヂストンは、大きく2つの可能性を見ていました。
1つは今村と孫崎、脚質の異なる2人のスプリンターで最終スプリントの勝負を狙うこと。
そしてもう1つが、逃げの持久戦に持ち込まれた場合に、長距離を得意とする徳田優での勝負です。
最後の勝負カードとして温存された彼ら3名は、集団の前に出ることはほぼありません。今村と孫崎は、登りでは集団の中央に下がり、下りや平地ではチームが作った空間に入ります。力あるブリヂストン選手たちの連携による万全の形で、レースの流れを見据えています。
(今村、孫崎)
レースを2/3終えた残り10周、集団のペースは一気に上がり、最も厳しい登り区間で先頭の5名を吸収。その混乱の中で、新たな形に落ち着く前に少しでも状況を有利にすべく、選手たちは渾身のアタック。終盤を前にした勝負所のひとつとなりました。
ここでするりと前に抜けたのが橋本英也です。
3名の選手と一気に前に出て、4名の新たな逃げグループを形成。ここは逃げ切り勝利を狙って走ります。
(橋本)
一方、活性化した集団内では、ここまで脚を使ってきた石橋と黒枝が力尽きタイムアウトに。さらに集団中央付近にいた沢田桂太郎は、このコースで2位を獲得したこともあるのですが、この時点で脚が攣ってしまい、レースを降りることに。
(沢田)
橋本を含む4名のブレークアウェイは、残り8周回を逃げ切るべくペースを上げます。しかしメイン集団は、彼らを逃がさない意志が感じられる速度で前を追います。実は腰に不調を抱えての出走だった橋本、粘りましたが残り3周を目前に、迫り来た集団に飲み込まれます。
「前半をきれいに走れて、あのタイミングで逃げに乗れて、良い動きになったのはよかったです。実は腰が痛くて、逃げている時もヒヤヒヤしていました。逃げ切る形になったらどうしよう、と思ってもいました(笑)」(橋本)
(橋本)
残り3周、160kmを走り切ったところで集団は、レースを振り出しに戻します。ここに残る選手は、勝利を狙う猛者たちのみ。フィニッシュラインに向けた厳しい戦いが始まりました。
ここでブリヂストンから、徳田と近谷涼が速度の上がった集団の前に出ます。この展開であれば、ゴールスプリントにするのが、スピードのあるブリヂストンには有利です。
(孫崎、徳田、今村、近谷)
そのため徳田は自身も力を振り絞り、逃げ出しそうなアタックをチェックして潰します。
ここのところ重要な場面でのアシストが目覚ましい近谷は、孫崎と今村の2人を守る形で、先週のチーム勝利を再現すべく先頭に粘ります。先週のクリテリウムでの優勝のように、再びのアシストを見越した動きでした。
(近谷)
最終周回直前の上り坂で、マトリックスパワータグの外国籍3選手がアタックし、集団はバラバラに。これに徳田が反応し追いすがりましたが届きません。全体のペースが一気に上がり、近谷はここで力尽き後方に。そしてついに、今村と孫崎が動きます。
(六峰監督)
今村は前方を行く3名を追いますが、そのタイミングなのか速度が速すぎたのか、結果1人で追うことに。これではまずいと一度後方集団に下がり、集団を利用して前を追う判断をします。ゴール前1kmの下り、先頭の3名には届かない後方集団は最後の登りに向けてフルスピードに。
下り終えてフィニッシュまでの登り500m、前方にいた孫崎と今村は飛び出します。しかし先行の3名には悔しくも届きません。結果、今村が5位、孫崎は6位でした。
(今村)
「距離も長かったので、脚を使うのは他のメンバーに任せて、ここは最後、一発狙ってやろうと決めていました。
今日はみんなが前を引き、位置どりしてくれて。上りはパワーを使わないように下がってクリアして、下りでは前に出してもらって。
ひたすらその繰り返しで脚を溜めさせてもらって、最後の上りも1番いいところで入れたんですが、前の3選手に完全に付ききれなかった。あの領域で千切れたのは本当に悔しいです」(今村)
(孫崎)
「それまでみんながまとめてくれていたので、最後の坂、自分が得意な領域で勝負できましたが、そこからマトリックスの3人に離されてしまって、追いつけませんでした。
そこまではチームとしてはすごくいい動きで、だからこそ最後まで優勝争いできたんじゃないかなと思っています。自分は脚を全然使わない走りをさせてもらっていたので、最後の上りで付ききれず、力で負けたという感じです。あそこでしっかり前につけていたらと思うと悔しいです」(孫崎)
(団体賞 2位)
最高とは言えないまでも、最後までチームとして着実に動き、最後の段階まで選手を必ず要所に送り込んだ、このレースでのブリヂストン。最後は外国籍の選手たちに言葉通り力負けした形となりました。しかし日本トップクラスの実力である選手たちが、着実に連携して機能することで、その体力差をねじ伏せる寸前まで追い込めました。
この協力と連携力こそが、世界一を目指す日本のチームであるチーム ブリヂストン サイクリングならではの持ち味です。これまでにオリンピックをはじめとする世界舞台に、何人もの選手を輩出してきたという誇りを胸に、さらに走り続けてまいります。
2020年ロードレースの公式戦はこれで終了しましたが、トラック、マウンテンバイクの2020シーズンは終わっていません。TEAM BRIDGESTONE Cyclingの選手たちはこれからも、日本一はもちろんのこと、世界一へ向かって走り続けていきます。
自転車競技での世界一獲得を目指す日本のチーム、TEAM BRIDGESTONE Cyclingに、日本の自転車選手を愛する皆様の熱い声援を、なにとぞよろしくお願いいたします。
【リザルト】2020/10/11 第54回 JBCF 経済産業大臣旗 ロードチャンピオンシップ Day-2
6km x 30周=180km
1 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)4:38:10
2 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)+0:00
3 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+0:06
5 今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0:08
6 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0:09
35 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+1:49
36 徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+1:49
-- 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
-- 沢田桂太郎(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
-- 石橋学(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
-- 黒枝士揮(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
団体賞
1位 マトリックスパワータグ 2160p
2位 TEAM BRIDGESTONE Cycling 945p
3位 愛三工業レーシングチーム 810p
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