2020トラック全日本選手権 11/8 男子個人パシュートを近谷が勝利、窪木は2位に
2020トラック全日本選手権 11/8 男子個人パシュートを近谷が勝利、窪木は2位に
(近谷)
レース名:第89回 全日本自転車競技選手権大会 トラック・レース
開催日:11月8日(日・大会最終日)
開催地:群馬県・ヤマダグリーンドーム前橋
種目:4km個人パーシュート
TEAM BRIDGESTONE Cycling 参加選手:窪木一茂、近谷涼、孫崎大樹
2020年トラック全日本選手権の最終日、11月8日に行われた個人パシュート種目にて、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの近谷涼が優勝、窪木一茂が2位となりました。近谷は2017年の勝利以来のこの種目の全日本チャンピオン、窪木はこの種目の連覇を阻まれた形となりました。
photo: Satoru KATO, Kanako TAKIZAWA
(近谷)
大会3日目まで中距離の出場種目すべてで勝利をさらっているTEAM BRIDGESTONE Cycling。近谷涼はチームのキャプテンとして、並々ならぬ思いとプレッシャーの両方を抱え、この大会に臨んでいました。
「TEAM BRIDGESTONE Cyclingはトラックに注力しています。東京、パリと、会社自体もオリンピックのゴールドパートナーとして、会社を上げてトラックを強化しているチームで、どうしても全日本選手権は落とせないというプレッシャーが毎年かかっています。勝って当たり前ではないですけど、強いところも見せなきゃいけないので、その面では毎回プレッシャーがあります。
(近谷)
ここまで中距離種目は全部勝っていて、(短距離でも)太田(りゆ)さんが勝ったりとか、脇本(雄太)さんも頑張ってくれているので、明日も気を抜かずに全部勝ちにいくつもりで最後まで戦いたいと思います。勝つのが使命だと思っています」(近谷)
3日目を終えて近谷は、そう決意を固めていました。
チームブリヂストン選手としてロードをメインに活躍してきた孫崎は、予選で4分40秒437を出し結果7位。上位決定戦に進めず、ここで7位が確定します。
(孫崎)
大会4日目の午前中に行われた4km個人パーシュートの予選で、全8組中、7組目の出走となった近谷は、4分27秒648という記録で予選暫定1位。その言葉を裏付けるような走りを見せました。
(近谷)
しかし、日本記録ならびに全日本の大会記録を保つ最終組走者の窪木一茂は、4分26秒547、近谷を0.1秒ほど上回り予選1位のタイムを塗り替えます。
(窪木)
それでも決勝に向け近谷は、4km個人パーシュートという競技に対しては譲れない思いがありました。
「ほかが全部ダメでも個人追い抜きだけは落とせないっていう気持ちがありました」(近谷)
窪木と近谷は、大学時代から先輩後輩の関係です。大学では、窪木がやっていた個人パーシュートを後輩である近谷が受け継ぐ形になったそうです。また、リオ五輪の頃までは、トラックを中心に活動していた近谷の方がタイムが良かったといいます。しかし、窪木はそこからさまざまな手法を取り入れ、個人パーシュートに注力したことで一気にタイムを伸ばしました。
(近谷)
「それで僕も刺激が得られたというか、国内で周りに個人追い抜きに特化した人がいなかったので、その面でも自分も甘んじてたんだなと思って、先輩(窪木)の走りに感化されて、僕ももっとやろうと考えました。
先輩にいろんな話を聞いて、ギヤをかけたり体の使い方とかも変えて、それでタイムを上げて行ったんですけど、なかなか追いつかなくて。(これまで窪木に)2回負けていたので、今回は成長したところを見せたいと思って挑みました」
近谷はそんな思いを抱えて決勝に向かいました。
(近谷)
(窪木)
決勝での近谷と窪木の一騎打ちは、序盤から中盤までサイドバイサイドの戦いが繰り広げられました。後半に入ると、徐々に近谷は窪木との差を詰め始めます。そして残り1kmに差し掛かる直前で、近谷は窪木の背中を捉えました。結果は、近谷が4分28秒222で優勝。窪木は後半伸びきらず、「2本目はもう脚がなかったです」と、4分35秒704の準優勝で終えました。
(近谷)
優勝した近谷は喜びを見せたものの、少しだけ浮かない表情をしました。
「もし予選で僕が先輩よりもいいタイムで勝っていて、今回の結果(優勝)だったら、僕も先輩に近づけてきたなと思うんですけど、予選は上回られてるので。そのぶん先輩にもまだまだだなって思われていると思うので。
先輩は、競輪学校に入られていて、中距離の練習はほとんどできていない状況だと思うので、今回予選のタイムも1位でしたけど、普通にやっていたらもっと早いタイムが出ていたと思います。まだちゃんと勝てたとは思えていないので、来年以降も戦えるようにまた頑張っていきたいと思います」(近谷)
先輩後輩の期待の掛け合いによって、お互いを高め合い、さらなる飛躍が期待できます。
(近谷)
トラック中距離、ロードレースなどエンデュランスをメインにしてきたこれまでとは違い、競輪養成所に所属する現在、毎日鉄フレームに乗って、競輪に特化した練習と向き合っている窪木にとってカーボンフレームは、すっかり"慣れない"ものへと変わっていました。
感覚を取り戻すのには時間が必要と話し、今回の結果について、「ぶっつけだったので、その割には自分はよくやったほうだなと、褒めたいなと思いますね」と話しました。
(窪木)
また、久しぶりのトラック競技の大会に感動すら覚えたと言います。
「コロナで隔離していたので、お客様がいるのとかすごくいいなと思ったし、来て初日に、こういう素晴らしいところで大会が行われていることのありがたさを感じましたね。先月には脇本(雄太)さんが優勝したレース(競輪の寛仁親王杯)もあって、翌月僕がここで走れるというのは感動しますね。大会が行われて、走れて良かったです」
(窪木)
今度トラック競技に戻ってくるときはどんな種目に出るかと質問を投げかけると、競輪養成所に入る前にも見たことのある自信を漲らせた目でこう答えました。
「どんな種目で出ましょうね。もう一回作り直してからまたお披露目できると思います。もう一段階強くなります。楽しみにしていてください」(窪木)
(2位 窪木、優勝 近谷)
【リザルト】2020/11/8 トラック全日本選手権 4km個人パーシュート
1 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:28.222
2 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling /JIK)4:35.704
3 安達光伸(朝日大学)4:33.923
7 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:40.437
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