3次元にうねる土のコースで競う技術と体力:マウンテンバイクレース【レース基礎知識】
【レース基礎知識】として、TEAM BRIDGESTONE Cycling 選手が参戦するレース種目についてお伝えしています。
ここではマウンテンバイクの種目と出場選手、そして同じくオフロード種目であるシクロクロス種目について、お伝えします。
難セクションの続くオフロードを走るマウンテンバイク
アトランタ1996オリンピックからオリンピック正式種目となったマウンテンバイク・クロスカントリー競技。
土や砂利、時に岩や川などもある自然のオフロードコースを、マウンテンバイク(一般にMTBと略します)に乗って走る自転車競技です。
まさに山道そのものである、土のコースを走ります。上り下りを繰り返しながら三次元にうねる地形では、精密なバイク操作と路面への確かなグリップが求められます。選手たちは、横ハンドルで操作しやすく、太いタイヤで転びにくいマウンテンバイクで走ります。
コースには車体1台しか走れないほど細い山道ルート、2m近くの段差を自転車に乗ったまま飛び降りるセクション、押さなくては登れないほどの激坂といったセクションが、数多く設けられます。
東京2020オリンピックのマウンテンバイク競技では、最高峰のレースだけあってコースの難易度も最高峰。コンパクトな敷地内でもアップダウンを大幅に繰り返す、エキサイティングなレース展開になる難しいコースです。
岩場を抜けるダウンヒル、技術と脚力が試される登り返しなど、マウンテンバイクの走破力を存分に魅せるものとなっています。
オリンピックを頂点とするXCO種目での勝利が大きな目標:
多様性のある自転車であるマウンテンバイクの競技種目はなかなかに多いのですが、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの選手が出場するのは主に、下にあげる長距離種目3つです。
XCO (クロスカントリー・オリンピック )
一般に『クロスカントリー』または『XC競技』などと呼ばれる種目がこのXCO=クロスカントリー・オリンピック。
名称通りにオリンピック種目で、TEAM BRIDGESTONE Cycling選手たちの主戦場です。
競技時間は1時間半程度、一般に5〜7kmほど距離のオフロード周回コースを一斉に走り、全長30kmほどの距離を速く走ったものが勝つ個人戦です。
レースとして特徴的なのは、公式のピット以外で他者の助けを受けられないこと。悪路を走ると起こりやすいパンクなどのトラブルはすべて、自分で解決するか公式ピットに戻らなければなりません。飲み水をチームメイトから分けてもらうのもご法度です。
時に広く、細くもなる登山道のようなコースは、先行する選手の抜きどころが勝負。コース状況や地形を利用できた選手が勝利に近づく、まさに自然と共にある自転車レースです。
XCC (クロスカントリー・ショートサーキット)
XCOと同じレース形式を、周回長が2kmほどの短いコースで行う種目。距離は短い分スピードが速く強度の高いレースになります。周回が短いことも相まって、観る側にとっては迫力と見応えのあるレースです。
XCS(クロスカントリー・ステージレース)
XCO程度に距離のあるクロスカントリーレースを、数日間に渡り行う形式。総合順位を競います。ヨーロッパで多く開催されるレース形式です。
マウンテンバイクレースに出場するTEAM BRIDGESTONE Cycling選手
マウンテンバイクのレースは、チームでの参戦とはいえ完全に個人戦。それぞれの力量と技術で競います。
選手それぞれに走りの個性があり、得意な状況があります。オリンピック出場を目指すTEAM BRIDGESTONE Cyclingのマウンテンバイク選手たちの2人の特徴を大きく分けると、
・平野星矢 晴れた日に強く、ひとつのレースに集中して調整を重ねるタイプ
・沢田時 雨や泥などの悪コンディションでも落ちにくい、鋭いスピードとスプリント力が持ち味
となります。
平野は東京2020オリンピック日本代表のリザーブ(補欠)選手です、開催の最後の瞬間まで勝負に備え続けます。
平野星矢
・2020年全日本選手権 2位
・2019年全日本選手権 2位
・東京2020オリンピック 男子マウンテンバイク代表 リザーブ選手
紹介記事
→自転車 x 道 = 平野 星矢【2020BGT選手紹介】
→【2021年BGTチーム員紹介】平野星矢
沢田時
・2020年 Coupe de Japon シリーズタイトル獲得
・2021年 Coupe de Japon 第1戦 4位
・2020年 シクロクロス全日本チャンピオン
紹介記事
→自転車 x 成長 = 沢田 時【2020BGT選手紹介】
→【2021年BGTチーム員紹介】沢田 時
シクロクロス:ロードのような見た目のバイクで走る冬場レース
マウンテンバイクと同じくオフロードを走る自転車競技にシクロクロスがあります。沢田はこの競技にも出場しています。オリンピック種目ではありませんが、長い伝統のある自転車競技です。
ロードバイクと似たような見た目の、ドロップハンドル+細めのオフロードタイヤを履くシクロクロス専用車で、未舗装の周回コースを走ります。
機材が軽いため速いスピードのレース展開。公園のようなところで開催されることが多く、最近人気の伸びているオフロード種目です。
走る距離がスタートの後で決まるのがシクロクロス独特のルール。例えば男子エリートクラスの競技時間は1時間で、総周回数はレース序盤の周回タイムから決まります。
11月から3月の冬場がメインシーズン、MTBやロードレースがオフの時期にレースが行われます。
そのためMTBレースと掛け持ちする選手も多く、チームブリヂストン沢田もその1人。沢田はこのシクロクロスで、2020年の全日本選手権を勝利しています。
→沢田が4年ぶり2度目のシクロクロスチャンプに【シクロクロス全日本選手権】
2016年に続く2度目の全日本タイトルとなった沢田は、同年にMTBとシクロクロス両方の全日本チャンピオンを獲得するのを目標の一つとしています。
TEAM BRIDGESTONE CyclingのMTBチーム、平野と沢田は長い間チームメイトとして走ってきています。
個人競技であるオフロード種目では、2人はライバルです。それでも何かあっても後ろに頼れるメイトが備えるという状況はとても心強く、それぞれが得意とするレースを確実に勝利に向かって全力を尽くせる大切な条件ともなります。この互いに託せる安心感こそが、チームブリヂストンMTBチームの強みでもあります。
選手、監督が織りなすファミリーチームとしても名高い2021シーズンのTEAM BRIDGESTONE Cycling MTBチーム。なにとぞみなさまの熱いご声援をよろしくお願いいたします。
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