【Coupe du Japon 菖蒲谷クロスカントリー詳報】前回優勝の沢田時、今年はどうだった?

みなさん、こんにちは。

今年もいよいよマウンテンバイクレースのシーズンがやってきましたね。

オフロードを力強く疾走する魅力に惹き付けられてしまったのは、私だけでないはず。

2021年国内初戦となったCoupe du Japon 菖蒲谷クロスカントリーには、TEAM BRIDGESTONE Cyclingから沢田時選手が出場しました。

2日間行われた本レースのレポートを、今回も監督・選手インタビューを交えてお届けします。

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【レース情報】

Coupe du Japon 菖蒲谷クロスカントリー http://tatunomtb.blog74.fc2.com/

日時:

2021410XCC 14:10-

2021411XCO 13:50-

出場選手:沢田時選手

場所:兵庫県たつの市揖西町菖蒲谷 菖蒲谷森林公園・特設コース

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DAY1:ショートクロスカントリー(XCC)】

Coupe du Japon 菖蒲谷クロスカントリー初日のレース(XCC)。ここの順位が翌日のレース(XCO)のスタートポジションに直結する。沢田選手は一桁台の順位でゴールし、XCOの最前列スタートを確約すべく臨んだレースでした。

ショートクロスカントリーは3周回でレースが終了となるので、どの選手もスタートから100%の力を出して走ります。

しかも、菖蒲谷の今回のコースはスタートして間もなく、抜き幅の無い細い道に突入してしまうので、スタート直後の選手のポジションがその後の順位を大きく左右します。

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そんな中でも、周りを圧倒するスピードでスタート直後から先頭に出た沢田選手!

見事ホールショットを獲得し、そのまま二周目も先頭を引っ張りレースをリード。

三周目は、翌日のXCOを見据えて体力を残しつつ5位で終え、目標通り一桁台でゴールしました。

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DAY2:クロスカントリーオリンピック(XCO)】

前日のショートクロスカントリーでライバルの体調と走りを分析していた、沢田選手と小林監督は明確な作戦を決めてレースに臨みました。

----この日最初に組んでいた作戦を教えてください。

小林監督「XCOのレースはフルコースを使った6周回です。予測ラップから考えて80分を切るスピーディーなレース展開になると予想していました。従ってスタートからレースをトップスピードに持ち込み、早々と優勝争いを展開するだろう5名のライダーに絞ることが重要でした。そして、セクションごとに先頭集団のどのポジションにいるべきかを決め、体力的にも精神的にも有利な展開に持ち込む作戦でした。マウンテンバイククロスカントリーでは空気抵抗ではなく、ライバルとの位置関係と駆引きがメンタルを含む勝負のカギになるからです。」

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初日のXCCで沢田選手が速かったのを警戒し、2日目のXCOでは周りの選手もスタート時から速度を上げていき、小林監督の予想通りのスピーディーなレース展開に。

しかしここでも沢田選手は圧倒的なスピードを見せつけ、前日より速いラップで1周回に入ります。既にスタートから半周を待たずに5名の先頭集団が形成され、初日に引き続き、ホールショットを獲得するなど好調な滑り出しでした。

しかし、1周回目でタイヤの空気漏れが発生。(マウンテンバイクレースはハイスピードで山間部の未舗装路を走るため、木の根や突起物にタイヤが当たり、空気漏れが発生するトラブルなど、よくあるのです。)

走りにくくなった沢田選手はスピードが落ち、ライバル達がグッと前へ出ていく事を許してしまいます。途中、フィードゾーン(機材交換・栄養補給コーナー)に入り空気漏れのあった前輪を交換し、リスタート。

----パンクした後も沢田選手がしばらく走行を続けていたのは何故でしょうか?

小林監督「ピットではスペアホイールを待機していたのですが、先頭集団のスピードが速いため展開が落ち着くまでは空気が漏れ続けるタイヤをいたわりながら走ることにしたのですが、やはり沢田のスピードは落ちていきます。ライバルたちがその状況を逃すわけもなく、距離を進めるごとに徐々に先頭から離れてしまいました。低圧でぶれるタイヤを完全パンクにしないよう1周回以上をガマンしながらピットイン。即座にホイール交換してリスタート。しかしトップ3のラップを上回って先頭を奪い返すには、時間も体力も残っていませんでしたね。

(ちなみに、チームはピットに入ってきた沢田選手のパンクしたホイールをたった5秒で交換し、なんと7秒後には沢田選手がリスタートしています!TEAM BRIDGESTONE Cycling MTBチームは、ワールドカップでも最速の作業スピードを誇っているんですよ。)

前半はタイヤの不調でラップタイムが遅れてしまったものの、後半はライバル選手からの遅れにも、焦ってペースを乱す事などなく、単独でひたすら前を追いかける沢田選手らしい我慢強い走りを見せ、4位でゴール。

惜しくも表彰台は逃してしまいましたが、トラブルにも冷静に対処しながら上位でゴールする安定した強さと屈強な精神力を見せてくれたレースでした。

----沢田選手は今回のレースを振り返って、いかがでしたか?

沢田時選手「トラブルがありましたが、マウンテンバイクレースはそこも含めて実力のうちですし、今回の4位という結果もしっかり受け止めています。まだ弱さもありますが、これからもっと強くなれる自信がありますし、今回の結果はとても悔しいですが、自分の課題も明確になったので前向きに捉えています。次回にも是非ご期待ください!応援よろしくお願いいたします。」

----トラブルを乗り越えながらの今回のレース。振り返って、いかがでしたか?

小林監督「トラブルが発生すると、自分の想定していた勝利へのストーリーが崩れペースを乱して一気に失速してしまう選手が多いですが、沢田はエアー漏れが発生した後も、体勢を崩すことなく、前へ前へと走る我慢強い走りを見せてくれて、4位でゴールできました。今回優勝した山本選手は走りの部分でアグレッシブでしたし、さすがの強さで横綱相撲を取っていたと思います。今回の結果は残念ではありますが、今シーズンの沢田は身体のコンディションもかなり良い状態に仕上がっていますし、今回のレースで沢田自身も明確な課題が得られたと思いますし、ライバルとの差は彼のモチベーションに変わっているので、これからどんどん強くなると思います。会場でもSNSでも沢山の方に応援をして頂きました。この大会を開催してくれたすべての関係各位とみなさまに感謝いたします。TEAM BRIDGESTONE Cyclingはこれからもみなさまと一緒に夢と目標を叶えていきます。ありがとうございました。

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*残念ながら、MTBは公式中継がほとんどありません。でも、今回のレースでTEAM BRIDGESTONE Cyclingのスタッフが撮影したハイライトムービーがあります。

険しい山道で砂煙を上げながら疾走する選手たちの様子や、沢田選手のバイクに取り付けられたオンボードカメラの迫力ある映像がこちらでご覧いただけます。ぜひチェックしてみてください!

text:Kumi.Fujita  photo: TEAM BRIDGESTONE Cycling

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