【復帰は好調】窪木一茂に尋ねた、これまでの走りから浮かんだ4つの疑問

レースシーンへの復活を好調な成績で飾る窪木一茂


TEAM BRIDGESTONE Cyclingの窪木一茂は、今年3月に競輪選手養成所を卒業し、チームのトラック・ロード班に再び合流しました。1年ぶりに自転車レースシーン復帰した窪木、ここのところ目ざましい成績を残しています。

4月にはロードレースで勝利。5月には競輪デビュー戦で1位、2位、2位。トラックのネイションズカップ香港大会に出場し、スクラッチで表彰台を獲得しました。


レポート→ 【祝!優勝】おかえりなさい、窪木選手。今回は、結果にも過程にも見事なドラマが!

→【レース速報】UCIトラックネイションズカップ香港大会 Day2(5/14)

その帰国時の自主隔離期間が今週末の『ツアーオブジャパン』開催と重なったため、今年はこの大会には出場できません。

ツアー・オブ・ジャパンでの窪木といえば、前回2019年大会での東京ステージ勝利が強く印象にあります。前日の伊豆ステージで高速から落車するも、不屈の闘志で最終ステージをフィニッシュスプリントで競り勝ちます。チームブリヂストンが一つになった、美しい勝利でした。

レポート→【TOJ2019】最終・東京ステージ/窪木を優勝へチームは一つとなって導びいた


隔離期間の窪木は、固定ローラーでのトレーニングメニューを中心に体幹などの自重トレーニングを行っているそうです。

レースシーンへ確かに復活した窪木の、これまでの走りから浮かんだ4つの疑問を、オンラインで聞きました。


窪木一茂への質問4つ

Q1)選手養成場の1年間で、長距離を乗るトレーニングをしなかったそうですが、それでもロードレースで勝利、先の競輪デビュー戦でも好調。なぜだと思いますか?

一つ言えるのは、僕の中に貯金があったんだろうと思っています。長距離に対応できる体の貯金があったので、ロードレースに勝てたのかなと思います。

養成所では、乗り込むことはなかったですし、短距離に特化したトレーニングしかしていませんでした。

スピードとパワーに特化していて、自分もそのトレーニングを積むために養成所に行ったと思っています。それまで手付かずだった能力を開花させるべく、という感じです。いろいろ学ぶことが多かったです。

卒業後の3月、4月に乗り込んで、仕上げられました。この時期は特に距離を乗り込みました。1日で時間にすると4~5時間、週に16時間程度乗るという感じで、6週間を過ごしてきました。

Q2)ロードレースでは、最後の上り坂で、増田成幸選手との熾烈な千切り合いに打ち勝っての優勝でした。今あの勝ち方をどう振り返りますか?

タイムトライアルレース以外のレースはすべて展開が大切なように、あの勝利も展開に恵まれていました。今村選手やチームの選手が先に逃げてくれ、脚を溜められたので自分のパワーが活かせたと思っています。

最後の上り坂で増田選手と勝負したときは、短い時間での高いパワーが求められたので、全力でアタックを仕掛けました。

増田選手も、あの時は全開で逃げていて、僕は何とか着いていって、上り坂に入ったときに、思いっきりアタックをかけました。かかった感覚がありました。

集団から抜け出した時も、増田選手がアタックした瞬間についていったんですが、チームメイトにも反応がすごく早かったと言ってもらえましたし、上り坂でしたが最大ワットに近いパワーも出ていました。

そこまでうまく脚を溜められて、うまく自分の持ち味であるパワーを出せた結果なんじゃないかと思っています。



(左から:今村、窪木、近谷)


Q3)トラックネイションズカップ香港大会では、短距離種目の1kmTTと中距離種目のスクラッチに同日出場し、スクラッチでは3位を獲得。短距離種目と長距離種目を同日に出場する作戦をどう立てましたか?

正直なところを言えば、自分のメインイベントは前日のチームパシュートでした。練習という気持ちも込めてエントリーしましたし、中距離の監督も、そう薦めてくれました。

1kmTTを2本走ってからのスクラッチでしたが、僕はロード選手なので、あれができたのかなと思います。2回オールアウトしてから走る、脳みそにロックをかけないということですね。


Q4)前回2019年ツアー・オブ・ジャパンで最終東京ステージを勝利した窪木選手、今年参戦するチーム選手にアドバイスするなら?

僕も出たかったですね。特に東京ステージは。。。この大舞台は初めての選手も多いので、がんばって欲しい、レガシーを残し続けて欲しいというところです。積極的に逃げに乗ったりなどして善戦して。

失敗を恐れずにチャレンジして欲しい。失敗なきところに成長はないと思いますから。


●今後の目標など

自分の力を上げることですが、具体的には競輪でS級に上がることと、国内ロードでもう一勝上げることかなと思っています。

国内のロードレースでもう一勝上げられる力を手に入れられるよう今年は努力します。

希望の光があるうちは、まだまだ上り詰めてみせます。



Photos: Satoru KATO, Nobuhiko TANABE, the Cycling Association of Hong kong

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