【JICF国際トラックカップ 現地取材記①】レース前後の選手の様子を特別大公開!
皆さん、こんばんは。情報発信チームの渡辺です。この取材記では前半にトラックレースの【第7回JICF国際トラックカップ / 全日本学生選手権オムニアム】からマディソンとスプリントについて、後半にMTBの【COUPE DU JAPON 富士見パノラマ大会】をレポートします。
(私たちについてはこちらの記事を参照ください。)
TEAM BRIDGESTONE Cyclingに関わらせていただいて3ヶ月半が経ち、まだまだ勉強中ですが自転車競技は奥が深く、知れば知るほど好奇心を刺激される競技だなと思います。
実際に現地で取材をし、選手にお話を伺う中で私もすっかりとその魅力に魅せられてしまいました。
今回は、
①マディソン・スプリントのレース基礎知識
②選手へのインタビューから各々が何を考え試合に臨んでいたのか、それぞれの視点からレースを振り返り
③Behind the scenes 普段は見ることのできないレースの合間の選手の様子を写真でお届け
という構成でお送りします。
自転車競技に精通している皆さまはもちろんのこと、私のように今まで自転車競技との接点がなかった皆さまにも競技やチーム、選手についてもっと知っていただき、応援していただくきっかけになれば大変嬉しいです。そのようなコンテンツもこれからアップしていく所存です。
前半の今回は、3日・4日にわたって行われた第7回JICF国際トラックカップ / 全日本学生選手権オムニアムについて、後半はCOUPE DU JAPON 富士見パノラマ大会をそれぞれレポートします。
<レース詳細>
第7回JICF国際トラックカップ / 全日本学生選手権オムニアム
日時:7月3日(土)、7月4日(日)
会場:長野県松本市美鈴湖自動車競技場(周長333m)
出場選手:窪木一茂、新山響平、河野翔輝、山本哲央、兒島直樹
今回のレース会場である美鈴湖自転車競技場は周長が333mと、オリンピックや世界選手権大会に使われる250mトラックと比較するとやや大きめの屋外自転車競技場です。
標高は1,000mと山に囲まれた自然豊かな立地で、1日目は雨予報の天気予報を覆し天候にも恵まれました。
一日目のレース種目は、マディソンとスプリント。
TEAM BRIDGESTONE Cyclingからはマディソンには窪木選手&兒島選手ペア、山本選手&河野選手ペアの2組、スプリントには新山選手が出場しました。
【マディソンとは?】
マディソンとはオリンピックの正式種目の一つで、2人1組でチームを組み、交代しながら行うポイントレース。決められたポイント周回の着順に応じて獲得出来る点の合計点で競う。
(引用:https://morecadence.jp/makeithappen/trackcycling/madison/)
二人の選手がタイミングを相談しながらタッチして交替するシーンが見どころです。
マディソンの決勝では、兒島選手のアタックから単独で抜け出したことを皮切りにラップを決めポイントを稼ぎ、TEAM BRIDGESTONE Cyclingから派遣された窪木選手・兒島選手のナショナルチームペアが圧倒的な力の差を見せます。そこに山本選手・河野選手ペアが続きTEAM BRIDGESTONE Cyclingがワンツーフィニッシュを果たしました!
出場チームが多く落車がないかとヒヤヒヤしていましたが、素晴らしいチームワークで2チームとも表彰台に登りました。
↓男子マディソン決勝 レースの様子はこちらからご覧ください(4:02:40~)
https://www.youtube.com/watch?v=911dzgrOrQ0
チームの二人がタッチして交替するシーンが絵になり、そこでのコミュニケーションから試合が展開されていく様子がとても面白かったです。
レースを終えた直後の4選手への直撃インタビューから「選手が何を考え試合に臨んでいたのか」、それぞれの視点からのコメントからレースを振り返ります。
▽まずは、優勝を勝ち取った窪木選手&兒島選手ペアから兒島選手にインタビュー
ー兒島選手、優勝おめでとうございます!最初から余裕を持った走りに見えましたがいかがでしたか?
ありがとうございます。余裕もあったので自分からアタックして、逃げに繋げられました。今回は自分でも納得のいく満点の走りができたなと思います。
ー素晴らしかったです。窪木選手とのタッチがすごくスムーズでしたが前にも組まれたことはあったのですか?
実は(マディソンの)公式レースは参加自体が初めてでした。ただ、トレーニングでは窪木さんとも組んだことがあったので最初に比べると上達して、いい連携ができていたかなと思います。スピードがある時も上手くタッチができていたので良かったなと思います。
ースムーズな連携の秘訣はあったのですか?
窪木さんからタッチのやり方を教えていただいたことが大きいです。今まではタッチの時に普通に手を握っていたのですが、①手首の辺りを握ること②下から掬うように握ることの2点を意識することでお互いの手が弾かれて上手く握れないということを防げました。
ーさすが窪木先輩ですね!タッチのタイミングでお二人がコミュニケーションを取っているように見受けられましたが、何を話してらしたのですか?
ラップ*のタイミングなどの話が多かったです。あとは、逃げの時の脚の使い方なども話していました。
*メインとなる集団から抜け出し、1周回って再び集団に追いつくこと。成功すれば20ポイントを獲得することができる(引用:https://morecadence.jp/rule/18916)
ーあの数秒間にすごい情報量ですね。ラップのタイミングは何で決めたのですか?
脚が回復してきた段階でラップを狙おうと思って話していたので、いけそうになったタイミングでラップを決めました。
ーレースの参加人数が多く、見ていて少しヒヤヒヤしていたのですが、参加されていてどう感じられましたか?
そうですね。積極的にアタックをかけて前の方に行くことで落車も避けられると思ったので序盤からそのことを意識していました。後半からはラップもかけて人数も減ってきて、単独で走っていたので余裕を持ってレースができていました。
ーお疲れ様でした!
▽続いて、窪木選手インタビュー
ー窪木選手、優勝おめでとうございます!兒島選手から、タッチの方法を窪木選手から伝授されたと伺いました。
そうですね。厳しい伝授をしました。(笑)そこに(兒島選手が)耐えてくれたからこその勝利だと思います。
ー素敵なチームワークですね。その他にも兒島選手に伝えたことはあったのですか?
一方的に伝えたというよりかは、「こうやったら走りやすいよね」といったことをお互いに共感しあっています。日頃から密にコミュニケーションを取っていたことが今日の結果に繋がったのかなと思います。
ー参加人数が多かったかと思いますがそのあたりはどう感じられていましたか?
そうですね。スタートすぐは後ろにいたので危ないなと思っていたのですが、今回は兒島選手に託していた部分があったので、彼が抜け出したタイミングでラップに行けたのでよかったです。
ー抜け出すタイミングは相談されてたのですか?
相談はしていなかったです。30kmは長いので最後まで脚が保つかなという不安はあった中での攻めの走りで抜け出し、レースを展開できたので良かったなと思います。
ー後半も安定の走りで脚の心配を感じさせない走りのように見えていました!
そんなことないですが、勝利することができたので疲れが半減したかなというのはあります。今日はブリヂストンチームからも応援に来てくださったのでより頑張れました。
ーありがとうございます!
実は同じ日本大学の先輩、後輩でもある窪木選手&兒島選手チーム。公式レースでは初めて組んだ二人とは思えないチームワークでラップを決めた瞬間は鳥肌が立ちました。
たまたまお互いがトレーニングで外に出たタイミングで2日連続鉢合わせ、一緒に練習をして仲良くなったという小話も教えていただきほっこりしました。
▽続いては2位の山本選手&河野選手のペアから山本選手にインタビュー
ー山本選手、2位おめでとうございます!今日のレースはいかがでしたか?
窪木選手、兒島選手のペアが強くて後手後手の展開になってしまって、後半は河野くんに負担をかけてしまったかなというのが反省です。
ー負担をかけてしまったと感じるのはどの部分ですか?
後半で交替のタイミングで2周回ってもらったりして脚(のパワー)を貯めさせてもらったりしたところですね。
ー良いチームワークを感じましたが、河野選手とのペアはいかがでしたか?
ぶっつけ本番だったので前半は少しもたついたのですが、レース後半には調子も掴んできて上手くできたかなと思います。
ー初めてのペアとは感じられない連携でした。私は初めてマディソンを観戦させていただいたのですが、最初の参加人数の多さにびっくりしました。
衝撃ですよね。(笑)今回のレース会場の周長は333mとオリンピックなどの国際大会の250mトラックと比べると大きかったので(今回の参加人数の多さを考えると)まだ(大きめで)よかったかなと思います。ですが落ち着いて走れたのは人数が絞られてくる後半からでした。
ー落車もなくて良かったです。タッチのタイミングでは(河野選手と)何かコミュニケーションは取っていたのですか?
そうですね。手を繋いでいるタイミングで、「今回は2周お願い」などと軽く話しています。自分の脚の具合と、河野選手の具合とを見てという感じですね。
ーとても良いチームワークで、観ていてとても楽しいレースでした。ありがとうございました!
▽続いて河野選手にインタビュー
ー2位おめでとうございます。山本選手から、(河野選手に)後半かなり頼ってしまったという反省点を伺いましたが、河野選手はずっと余裕があったのですか?
余裕があった訳ではないのですが、前半人数が多かったこともあり前に出ることに苦戦し、山本選手に脚を使ってもらって前に出てもらったので後半は余力が残っていました。なのでその分後半は少し多く走れたかなと思います。
ーレースの前半・後半でお二人が体力を分散できたのが功を奏したのですね!山本選手と組むのは初めてだと伺いましたがすごいチームワークでしたね。
周回したときに投げる位置などの微調整した程度で、本当にぶっつけ本番だったので初めてで投げる(タッチ)タイミングなど不安要素もありましたが結果良かったかなと思います。
実は何度か握れずタッチだけになってしまったというミスもあったのですが、大きな失敗はなくレースを終えられました。
ータッチではなく握るのは何故ですか?
タッチだけだと、前の人とのスピード差が生まれてしまうんです。なのでしっかり握って投げるということをしてますね。
ーなるほど、そこでお互いのスピードを調整しているのですね。今回のレースで優勝した窪木選手・兒島選手のペアは意識しながら走られていましたか?
そうですね。彼らはずっと先頭にいて3周回程差が開いてしまったので何とか追いつきたいと思いながら走っていました。加えて二人はずっと踏んで走っていたので追いつくのに苦戦しましたが、一回目は追いつくことができました。ただ二回目アタックされた時は追いつけなかったのでここは次回に向けての反省点かなと思います。
ー落車もなく無事に走り切れてよかったです。お疲れ様でした!
大学四年生で同い年、私生活でも相部屋だという山本選手・河野選手のペア。
マディソンでのペアは初めてとのことでしたが、流石普段のコミュニケーションの多さや仲の良さもあり、お互いが気遣いあって体力を温存し合いながらレースが進んだチームワークが素敵でした。
【スプリントとは?】
スプリントは3周の着順を競うシンプルなトラック種目。お互いがどこでアタックをかけるのかという目線を贈り合いながら進む心理戦に、見ている側もドキドキです。最終周のスプリント時のスピードは間近で見ると圧倒されました。
↓新山選手が登場したスプリント3位4位決定戦 レースの様子はこちらからご覧ください(5:20:24~)
https://www.youtube.com/watch?v=911dzgrOrQ0
▽スプリントに出場し3位を獲得した新山選手にインタビューを行いました。
ー新山選手、お疲れ様でした。今日のレースはどうでしたか。
悔しいです。
ーそうですよね。今回満足な結果が出せなかった原因はどこにありましたか?
メンタルの部分でもあまり本調子ではなかったことですね。ただ、次の全日本選手権ではモチベーションも上げ、フィジカルも整えていきます。トレーニングに関しても足りない部分を補い、もっと一個一個の練習にきちんと意味を持てるように考えていきたいと思います。
悔しさを語った新山選手、インタビュー終盤では笑顔も見られ、全日本選手権に向けての力強い意志を感じました。
▽Behind the scenes
みなさん、選手が試合の合間に何をしているのか気になりませんか?今回は厳選して3枚を特別にお見せします!
マディソンでの獲得ポイント数の表記の仕方を話し合う様子
(左から窪木選手・河野選手・兒島選手・山本選手・宮崎監督)
ギアを交換する河野選手・早川メカ・宮崎監督
レースや走った感触によってメカと相談しながら、細かくギアを調整します。
レース前にローラーでアップする兒島選手・河野選手
■一日目を終えて
月並みですが「アスリートというお仕事は本当に尊い」というのが取材を終えた率直な感想です。ひたむきに努力し全力でレースに臨む姿にただただ心を揺さぶられました。同時に私もどうしたらもっと魅力を伝えていけるのか、自転車競技が広く人気のスポーツになれるのかということを考えています。そのための企画もこれから発信して参ります。
監督やメカ、大会主催者、関係者、スタッフの皆さま、応援してくださる皆さま、多くの人に支えられレースが開催できることを実感し、皆さまに感謝です。
ロード&トラックチームは監督・早川メカニック・選手の仲がとても良く、チーム内は和やかな雰囲気。その中でもそれぞれがトップ選手としての自覚を持ち、お互いに切磋琢磨し高め合う良い循環が形成されています。
7月11日に開催された石川ロードでは見事なチームワークで優勝と、良い調子でシーズン前半を終え、来たる後半戦へと向かいます。
現在はコロナウイルス感染拡大防止のためレースの開催状況も予測できず、観戦も制限されている状況ですが、レースの様子はYoutubeなどにもアップされますので、ぜひチェックをお願いいたします。
皆さまの応援が選手の力になります!
また、これが知りたい!選手にこれが聞きたい!などリクエストがありましたらチームのFacebookページのコメント欄で是非教えてください。
チームのInstagramも是非チェックしてくださいね。
続く後半では、沢田選手・平野選手が参加したMTB COUPE DU JAPON 富士見パノラマ大会の裏側を選手・監督へのインタビューを交えながらお届けします。こちらもお楽しみに。
text:Lynn.Watanabe
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