東京2020パラリンピック開幕!日本代表選手スペシャルインタビュー【トライアスロン:秦由加子編】

リオデジャネイロ2016パラリンピックのトライアスロンで、6位入賞をはたした秦由加子選手。2度目の出場となる、東京2020パラリンピックでは、前回大会以上の成績を目指し、5年間トレーニングを積んできました。
レースを目前に控え、あらためてトライアスロンについてやレースの抱負をお聞きしました。

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―― TEAM BRIDGESTONEとの出会いを教えてください。なぜブリヂストンをパートナーとして選んだのですか?

上田藍選手と出会い、グローバルに活躍する日本企業のブリヂストンさんが、多くのアスリートのサポートをしている事を知りました。自分自身が世界へ挑戦するにあたり、心通う自国の企業に背中を押して頂く事ができたら、どんなにか心強いことかと思いました。
企業は人の集まりであり、その一人一人と選手とが繋がっているということは、何よりも選手の力になります。同じ母国を持つ企業と選手とが、心を通わせられることは本当に大切なことだと思い、ブリヂストンさんにサポート頂くことを決めました。

―― 他メーカーのバイクと乗り比べていかがですか?

初めて乗った時から「このバイク最高だな」と感じました。
私は競泳出身だったので、機材を使ってスポーツをするのは2013年から始めたトライアスロンが初めてでしたが、この時、機材と身体が一体化する大切さを初めて感じました。
また、今まで日常で何気なく使っていた義足から、競技用の義足に変わった時に機材の重要度を実感しました。
サポート頂いているバイクが年々アップデートしていくのに合わせ、私自身ももっとアップデートしなければなりません。最高の機材であっても、自分自身の身体が追いつかなければ機材の良さを引き出せません。まずは私自身が成長し、このバイクに似合うような選手になりたいと思う気持ちが力に変わりました。

―― パラリンピック直前の今、どういった準備をされていますか?

気温など、いよいよレース本番と近い状況になってきて、どんな天候でも対応できるよう準備ができるというのは、自国開催の強みであると思います。
スタートのホーンが鳴ってから、スタートダッシュをどれくらいのスピードでいくのか、バイクの巡航速度はどのくらいかなど、本番に近い環境で頭を使いながらの練習を重ねています。
リオデジャネイロ2016パラリンピックは万全とは言えない体調の中で、不安な気持ちを抱えてのレースでした。フィニッシュした瞬間は、その景色とともに、次の東京大会に向けてもっとしっかり準備し、スタートラインに立ちたいと思った気持ちを今でもはっきりと覚えています。
その感覚を忘れず今日まで準備を重ねてきました。この5年という長い時間を費やしてきたことはきっと自信になると思います。そして、その想いを振り返りながら、心からレースを楽しみたいと思います。

―― レース中の失敗談はありますか?

たくさんあります(笑)。
その中でも2019年の東京2020パラリンピック プレ大会でのバイクパートの際、義足の中に汗が溜まり、何度も脱げそうになりました。途中、義足を外し汗を拭くという作業を3回繰り返した結果、順位を下げてしまいました。それならば義足をなくしてしまおう!ということで、そこから片足でバイクを漕ぐことにしました。
プレ大会の失敗があったからこそ、左足を強化するトレーニングに切り替えることができました。

―― レース中のオシャレについて聞かせて下さい。

えーー困った、、、何も考えていませんでした(笑)。
バイクがカッコいいのでそれで充分だと思っています。
このインタビュー前もしげしげとバイクを眺めていたのですが、白と黒と赤のブリヂストンカラーには日本の国旗の色も含まれていますし、私がそれをスポイルしないようにと思っています。
普段の練習では気持ちの上がるウェアを身につけたりするのですが、ことパラリンピックにおいて、日の丸を背負うのはとても大きなことで、こんなにも光栄なことはないと思っています。諸外国のバイクをみても、ナショナルカラーが使われており、国と国の勝負という意味合いは大きいと思います。
見て頂きたいところはクールなバイク。そこに尽きます。

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―― 秦選手にとってパラリンピックとは?

国が一つになるのはオリンピック・パラリンピックならではなのかなと思います。
オリンピックが始まり、日本の選手が活躍したり、頑張っている姿をテレビや配信で応援していると、同じ日本人として自分のことのように苦しかったり、悲しかったり、嬉しかったりするんだなという事をより強く実感しています。
そして、パラリンピックは私たち障がい者にとって本当に希望であるということです。
もしパラリンピックが無い世界があったとしたら、障がいを負った時点で何かに挑戦しようと思う気持ちをなかなか持ちにくいのではないかと思います。
その人自身が進化するという事もそうですが、様々な技術開発や、モノが創り出されたりすることもパラリンピックがあったからこそだと思います。

私達パラアスリートは、そもそも競技人口が少ない=需要が少ないこともあり、お店で売っているものを気軽に買える訳でありません。ラン用義足一つとっても、走る人に合わせて一つ一つ特別に作って貰わなければ使用することができません。
そのことを考えると、色んな道具が開発されるという事は、そこに多くの人や企業が関わってくださって初めて成し得ることで、個々に合わせたものを作って頂けるのはパラリンピックがあったからこそです。パラリンピックが存在し、私たちの可能性を広げるチャンスをもらえる事は、障がい者にとっての希望だと思います。

―― レースの見どころ、戦略について伺えますか?

スイムは私の強みの一つなので、序盤から攻めた泳ぎをしたいと思っています。
バイクに関しては今とても良い環境でトレーニングを積ませていただいているので、その成果を試したいと思います。
世界中の選手が障がいを持ちながら、難しさや苦労の中で厳しいトレーニングに励み、今回東京に集結します。選手みんなでレースをつくりあげていく姿や瞬間を、日本中の皆さんに見て頂きたいです。そして、自分が障がいを持っていたらどうだろう?ここまで頑張れるかな?など、選手の凄さや、苦境を乗り越えてきた強さを感じ、考えながら観戦して頂けたらと思います。

―― 2019年のプレ大会ではデュアスロン(スイムパートが中止)になってしまいましたが、お台場コースの印象はどうですか?

フラットなコースがほとんどなので、スピードレースになるのかな?という印象です。
3種目あってのトライアスロンなので今大会はスイムも泳ぎたいです。そして、とにかく暑いです(笑)。
ですが、暑い中でのトレーニングもしっかりと行っているので大丈夫です!

―― 最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。

新型コロナウイルスの感染で世界中が危機的状況の中での開催という事で、まずは世界の感染状況が少しでも快方に向かい、参加する選手、関係者全ての人が安心して大会に臨めること、そして感染が広がらないことを心から願っています。
レースでは表彰台にのぼるという事を一つの目標として調整をしてきています。
表彰台の上から、これまで支えて下さった方、応援して下さった方、私に夢を与えて下さった方々に感謝の想いを伝えられるよう頑張りたいと思いますので応援を宜しくお願いいたします。

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*ブリヂストンサイクルはパラリンピックのワールドワイドパートナーです。


【秦由加子選手の競技日程】

東京2020パラリンピック競技大会 トライアスロン

2021年8月28日(土)6:30 - 11:00

女子 PTS2

会場:お台場海浜公園

大会HP:https://olympics.com/tokyo-2020/ja/paralympics/sports/triathlon/

放送予定 : NHK BS1にて6:25より放送予定(中継)


★秦選手の過去インタビューはこちら → https://www.bridgestone.co.jp/chaseyourdream/athlete/interview/yh.html

参考資料:『かんたん!パラトライアスロンガイド』(外部サイト:日本障がい者スポーツ協会)
https://www.jsad.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_11.pdf

photo:Kenta.Onoguchi

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