日本一を決める大会の1日:BSの裏側【第25回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会 詳報】

皆さん、こんにちは。先週末には全日本選手権が広島県中央森林公園にて開催されました。誰もが欲しい全日本タイトル、TEAM BRIDGESTONE Cyclingも8名で臨みましたが出場メンバーの半数以上がアジア選手権帰国直後という移動疲れなどもあり、厳しい結果となってしまいました。

今回は、全日本選手権タイムトライアル、全日本選手権ロードレースのチームのプランや展開は勿論、機材や、補給などの裏側の動きもご紹介します。

第25回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会

個人タイムトライアル

日時:6月24日(金)13:00〜14:30

距離:12.0kmx 3周= 36km

場所:広島県・三原市 広島県立中央森林公園

出場選手: 松田祥位

金曜日に行われたタイムトライアルには、松田祥位選手のみエントリー。直前に開催されていたインドでのアジア選手権で個人・チームパーシュートで優勝。21日に帰国し、その後広島に現地入りしました。

晴れて非常に蒸し暑い天候の中、13:33、第2ウェーブで出走した松田選手。本人曰く、アップ時までは不調は感じていなかったものの、一周目からタイムが奮わず20位で終わりました。

宮崎監督「アジア選手権直後で移動の疲れもあったのか今日は何か噛み合わない感じで、(松田)祥位らしさが出せずに終わってしまいました。」

<リザルト>

20位 松田祥位 (57:39:62)

全日本選手権個人ロードレース

日時:6月26日11:00〜

距離:12.0km x 15周= 184.5km

場所:広島県・三原市 広島県立中央森林公園

出場選手: 窪木一茂、橋本英也、徳田優、今村駿介、松田祥位、山本哲央、河野翔輝、兒島直樹

配信:https://jod.jsports.co.jp/cycle/cycle_others?fbclid=IwAR3XBPjNXVa3bP6jetgHG1yTumD5Gp-2mmSJuANja5it7PJhU46VC1-t6lQ&fs=e&s=cl

本来U-23の選手である山本選手、河野選手、兒島選手もチームの戦力として期待しているため、エリートでの参加となりました。

窪木選手、橋本選手、今村選手も合流し8人が揃って行われた全日本選手権前日のミーティング。

チームブリヂストンサイクリングは、逃げに松田選手、山本選手、橋本選手、徳田選手の4人から最低でも2人を送り込み、松田選手をエースに前で勝負したいプラン。逃げが捕まってしまった場合はスプリントに強みのある今村選手、窪木選手で勝負を賭けます。

プランの確認や、「この状況になったらどうする?」などさまざまな展開を想定して会話が交わされました。

レース当日。 

曇り空でしたが、太陽が顔を出すと気温が非常に高くなりじわじわと体力を奪われる厳しい天候。

晴れて気温が上がることも予想されていたので、ボトルは70本ほど用意。

熱中症対策に、経口補水液も準備されました。飲み口を開けるために両手を使わずに口で開けられるように切れ込みを入れたり

補給ボトルにピットインをつけたり、など効率よく補給を行うための工夫が随所に見られます。 

いつもお世話になっているオージーケーカブトさんのIZANAGI(イザナギ)モデル。全日本前に、新しいヘルメットをご準備いただきました。

8人の選手のメインバイク、サブバイク16台が用意されたため、写真右奥の2トントラックを今回のために借りて自転車を運びました。

クランクはSHIMANOさんの新型デュラエースFC-R9200-Pを装備。

レース後に、体を拭くための雑巾も準備されました。(学年はチーム在籍年)

レース前のアップを終え、コントロールラインに並びます。

昨年度のU-23全日本チャンピオンの兒島選手は最前列からのスタートとなりました。

定刻11:00にレースがスタート。今回の全日本選手権は15周184.5kmの長距離レース。

1周目から松田祥位選手が単独で逃げ、40秒ほどのタイム差が開きますが「泳がされているのが分かった」(松田選手)ため次の周には集団に戻ります。

4周目にはペースも落ち着き、また集団一つで5周目を通過。アジア選手権最終日まで参加していた橋本選手・窪木選手は移動の疲れもあり前半でレースを下ります。

3段坂の登りがキツイコースレイアウトに加え、コンクリートの照り返しによる猛烈な暑さでレース折り返し7周目程には選手の半分程まで人数が絞られてしまいます。

レース後半、8周目で河野翔輝選手含む3名の逃げが出来ます。

そのまま逃げ続け1分20秒程までタイム差が広がりますが、河野選手がドロップし11周目で吸収。河野選手は3周逃げ続け、レースの展開を盛り上げました。

13周回目では4人の逃げ集団ができますがこちらも吸収されます。ラスト1周となった14周回目にはキナンの山本大喜選手がアタック。一人逃げでタイム差も30秒程まで伸びますが新城幸也選手が追いつきラストは二人の一騎打ちでスプリントへ。バーレーン・ヴィクトリアスの新城幸也選手が僅差で優勝しました。

チームブリヂストンで唯一完走した山本選手は25位。

宮崎監督「今回は完敗でした。優勝した(新城)幸也はやはり一番強かったですし、テクニックも効いていました。力不足というよりも、ロードの準備をしていないので当たり前だよねという感じはありましたね。

アジア選手権からの移動の疲れも残っていましたし、暑かったこともあると思います。窪木、橋本、今村の3人と合流した時に既に彼らの疲れは感じていましたし、全日本選手権は特別な大会なのであわよくばとも思っていましたが難しかったです。

ただ、チームとしてはあくまでトラックがメインで、直近のアジア選手権でもオリンピックに向けた最大限の結果は出してきてくれているのであまり悲観的に考えずにとは思いますが、やはり全日本選手権は甘くないなと思いました。」

ちなみに、今回チームスタッフはいつもの黒ポロシャツではなく、白で統一。


補給スタッフ3人と、無線で繋いで機材交換ゾーンに待機していた早川メカニックのチームワークも発揮されていました。山本選手曰く、「補給の時にこれが欲しいな」と思った時には大体出てくるので補給で何が欲しいかを叫ぶ必要はないそう。

白ボトルは水、黒ボトルはVAAMとしているのでボトルを見れば選手から遠目でもわかるなどの監督の日々の工夫、補給を取る場合は取る意志を見せる選手側からのアイコンタクトの徹底、選手・スタッフ双方のリスペクトによりレースが成り立っています。全日本選手権の時はスタッフは"白"が伝統になりそうです。

レース後の食事は明治さんの栄養士さんにもアドバイスいただき、サンドイッチが用意されています。

(「サンドイッチは、レース後だと口がパサパサする」という選手からのフィードバックもあり、ここ最近のレースからホットサンドイッチに変更になりました。)

<リザルト>

25位 山本哲央

河野翔輝(DNF)

今村駿介(DNF)

徳田優 (DNF)

松田祥位(DNF)

兒島直樹(DNF)

窪木一茂(DNF)

橋本英也(DNF)

皆様、猛暑の中沿道での沢山の応援を本当にありがとうございました。

シーズン後半戦に向けて選手たちも少しの間オフを取り、後半戦に向けてトレーニングを重ねて行きます。引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします。

Text: Lynn Watanabe Photo:Satoru Kato, Lynn Watanabe

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