進化するオーダーサイクルウエア WAVE ONE /株式会社ウエイブワン

選手の正装とも言えるサイクルウエア。チームブリヂストンサイクリングはモノトーンを基調に、赤の差し色がシンプルながら競合チームが入り乱れる熱戦の中でも映えるデザイン。

もちろんデザインだけでなく、自転車競技の最大の敵である空気抵抗も十分に考慮されています。ベテランの徳田優選手でも、ブリヂストンのウエアに初めて腕を通した時は緊張したとか。

そんな選手にとって思い入れの強いチームのサイクルウエアを長年サポートいただいている、オーダーサイクルウエアを展開する(株)ウエイブワンの深井大輔さんにインタビューを行い、

①ウエイブワンの歴史

②フルオーダーウエアが出来るまで

③チームブリヂストンサイクリングとの関わりについてお話を伺いました。

<写真:深井大輔さん(ウエイブワン提供)>

一人のサイクリストの想いから始まったブランド、WAVE ONE

ーーウエイブワンさんの歴史を教えてください。

弊社はアパレルのプリント生地などを製造する会社として2000年に創業しました。サイクルウエア事業は元々サイクリストであった代表の中田の「一人のサイクリストとしてサイクルウエアをより身近なものにしたい」と言う想いからオーダーサイクルウエアの販売をスタートしています。

当時はシルクスクリーンプリントでしたが、現在は昇華フルカラープリントへと、印刷方法も進化しています。

その後2008年からはお客さんが注文からデザイン依頼から生産管理までオンラインで完結することができるウェブオーダーシステムを導入。

2009年にはサイクルウエアをカジュアルに楽しめるブランド、KAPELMUUR(カペルミュール)がスタートしました。

現在はレース志向のオーダーサイクルウエア事業とオリジナルサイクルウエアのKAPELMUURの2軸で事業を展開しています。

ーーサイクリストでもある中田さんの想いからスタートした事業なのですね。サイクルウエアも時代と共に改良が重ねられてきたと思うのですが、どの様に変遷してきたのですか?

空気抵抗を軽減させ、かつ快適性も兼ね備えたウエアへと進化してきました。最近ですと、タイムトライアルやトラック用のワンピースなどではバックファスナーが世界的な流れになってきています。フロントファスナーだと上体が起こしにくいですが、後ろにファスナーをつけることで上体を起こしてもフィット感が高く、突っ張らずに快適に使ってもらえます。

フルオーダーウエアが出来るまで

ーーウエアも機材のように時代と共に進化しているのですね。一着作るにも大変な時間と労力をかけられていると思うのですが、フルオーダーウエアの製造工程を教えてください。

基本的に、①仕様決定▶︎②デザイン入れ▶︎③プリント▶︎④裁断▶︎⑤縫製の5ステップで進んでいきます。

①仕様決定

まずはウエアの仕様を決めます。基本的な製品の仕様は概ね決まっていますが、例えばBSさんで言うとレース用の無線ポケットを追加したりなどの細かな仕様を決定します。

②デザイン入れ

BSさんは数シーズンデザインが変わっていないですが、全日本チャンピオンのデザインなどは、その都度デザインを入れていきます。昨年で言うと全日本選手権MTBで優勝した沢田時選手のチャンピオンジャージは新しく作りました。

③プリント

プリントは、昇華プリントと言う染色方法で行います。インクジェットプリントで反転した状態のデザインを用紙に出力し、インクを含んでいる用紙を生地に熱と圧力かけて生地の上に転写することで色を載せます。

④裁断

パーツ毎の形に裁断します。

⑤縫製

裁断されたパーツを組み合わせ、一着一着手作業で縫製を行います。

一着のなかでも例えば、デュアルスーツだと背中がメッシュ素材で出来ていて、袖などは空気抵抗を低減できるポリエステル系の素材で出来ているため色々な素材を組み合わせて作られているのが特徴で、手間ひまかかる部分です。

ーー技術の結晶ですね。

ウエアの進化はトラック競技から

ーーチームブリヂストンサイクリングにはいつからサポートいただいているのでしょうか?

2009年からです。年に1、2回選手に会社に来てもらって意見を聞いてどの部分をどのように改良していくかなどを決めています。

ーー選手からはどのような声が届くことが多いですか?

多いのはパンツや袖の丈感ですね。体格によって同じサイズを着ても調整が必要なのでそういったところは選手それぞれに微調整して対応しています。

他にも、選手によって考えていることは様々なのでいろいろな意見を貰いますが、最近ですと6月に開催された富士ヒルの会場で、橋本英也選手がブースに遊びに来てくれました。

その時には、ウエアに使っているパッドについての意見を頂いて、こちらからもパッドの構造について話したりしました。

パッドに関して言うと、去年までは薄手のオリンピックパッドを使っていたのですが、今年からゴールドパッドと言うパッドを採用しました。

パッドが変わるとサドルからの高さも数mm単位でに変わってしまうため一度サンプルをお送りして、実際に選手に感触を確かめてもらい了承を得てから新しいパッドに変更しました。

ーー選手の生の声を商品開発にも反映していただいているのですね。

そうですね。BSさんとはお付き合いが長いことで、コミュニケーション取りやすくなり、進めやすくなってきて有難いです。

ーーこちらこそです。最後に、チームブリヂストンサイクリングの印象を教えてください。

大きな企業が母体ですし、歴史あるチームだということも感じます。

選手たちは礼儀正しいですし、プロ意識の高さをすごく感じる。スポンサー効果も高いです。

自転車競技の中ではロードレースばかりが注目されがちですが、ウエアに関してはトラック競技で実験的なことが進んでロードに流れてくることも多いです。

その意味でも、ブリヂストンがトラック競技に力を入れているのは楽しみでもあります。スポーツ観戦としてもバンクの中を走るかっこよさはロードに引けを取らないと思います。トラックレースも盛り上げていきたいなと思っていますし、すごく応援しています。

ーーありがとうございます!

選手が練習時も、レース時にも着用するサイクルウエア。確かな技術で快適なサイクリングを楽しめるウエイブワンさんのウエアは、フルオーダーは3着から注文することが出来、製品代金以外は、デザイン費もかからないと言うのもとても魅力です。

選手たちと同じクオリティのサイクルウエアでワンランク上のサイクリングを楽しんでみるのはいかがでしょうか?

ちなみに、個人的にレースの時にいつも楽しみにしているウエイブワンさんのマスコット猫、『ウエイブニャン』についても深井さんに伺ってみたところ、「元々は特別な目的を持って生まれた訳ではなかったそうですが、自然と定着していました。」とのこと。

普通であれば、ウエイブ「ワン」で犬なところをニャンにしてひと捻りしているのがポイントだとか。

先日の石川クリテリウム優勝時にはゴールシーンの松田選手にそっくりのウエイブニャンと窪木選手の格好をしたもぐら先生が祝福してくれました。キャラクター設定も細かくて、愛らしいです。

<ウエイブワンTwitter引用:石川クリテリウム優勝を祝うウエイブニャン>

これからも、ウエイブニャンと仲間たちにチームのウエアを着てもらえるようしっかりと頑張っていきます。深井さん、ありがとうございました!

▼WAVE ONE(ウエイブワン)

WEB:https://wave-one.jp/

Twitter:https://twitter.com/WAVEONE_Inc

Instagram:https://www.instagram.com/waveone.jp/

Facebook:https://www.facebook.com/waveone.customwear

KAPELMUUR:https://www.wave-one.com/shop/

ウエイブニャン:https://wavenyan.com/

    

 

                                                                                             

Interview&Text: Lynn Watanabe

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