【長年にわたるチームへのサポート】空力研究で生み出された待望の新モデルAERO-R2 Kabuto/株式会社オージーケーカブト

選手にとって、武士で言う鎧はサイクルウエア、兜はヘルメット。身を守るための道具であり、武器でもあるヘルメット作りで長年事故や怪我から頭を守っていただいている心強いパートナー、ヘルメットの製造で50年の歴史を持つ(株)オージーケーカブトのチーム担当柳原さん、広報の柿山さん、小川さんの3名に

①オージーケーカブトの歴史
②チームブリヂストンサイクリング との関わり
③新型ヘルメットAERO-R2の開発秘話

の3点について、お話を伺いました。

<写真:オージーケーカブト小川さん(写真左)、柿山さん(写真右)(オージーケーカブト提供)

ヘルメット作りに50年

ーーオージーケーカブトさんの歴史を教えてください。

東大阪市にて前身の大阪グリップ化工株式会社(現・オージーケー技研)用品販売部から独立して1982年にオージーケー販売株式会社という名前で設立されたことが発端となり、2006年に現社名に変更され現在に至ります。

元々は自転車のグリップや冬用の耳当てなどの成形技術を生かして、現在の主力製品である自転車やモーターサイクルのヘルメットの製造を始めて、前身からだと50年程の歴史があります。

ーーKabutoの名前の由来は?

前述したように前身の会社から独立して徐々にヘルメットの製造に特化していった流れがあり、ヘルメット=鎧兜の『Kabuto』として名付けられました。表記としては(株)オージーケーカブトが社名、ブランド名はKだけ大文字で『Kabuto』です。

長年にわたるチームへのサポート

ーーチームブリヂストンサイクリング へはいつからサポートいただいているのでしょうか。

BSさんとは1992年頃の鈴木光広さんの時代からです。当時の担当者が鈴木さんにヘルメットを渡して使ってみていただいたのが始まりで、1999年から正式なサポートが始まりました。

ーーその時からチームのコンセプトも変遷していると思いますが、チームの印象も変わりましたか?

浅田監督の時代はロード中心でやられていましたが、最近は体制も変わりトラックメインにシフトしました。オリンピックメダルを取るというところを目指して取り組まれているという印象を強く感じます。

ーー長年のサポートを本当にありがとうございます。

AERO-R1を越えられないのなら、発売できなかった

ーー続いて、ヘルメットについて教えていただきたいのですが、ヘルメットは何を基準に選べば良いのでしょうか?

ヘルメットは見た目では違いが分かりづらい製品で、値段が上がれば安全性も上がると思われがちなのですが、安全性は価格に拠らず担保されています。

実は、値段の違いは快適性や空力の性能差です。快適性とは軽さや通気性のことで、それらを追求していくと、通気口を開けるなどした上で強度加工をしなくてはいけないためあらゆる工夫をしていく必要がある。材料やパーツ点数が増え、製造工程も複雑になるため結果的に値段が上がってしまうという訳なんです。

なので初心者の方であれば、まずはRECTREZZA-2などの1万円前後のお手頃なものからスタートしていただいて、もう少し軽いモノ、空力の良いモノが欲しいとなってくるとAERO-R2や当社のフラッグシップであるIZANAGIなどに移行していくのが良いかなと思います。

季節的なところで言うと、通気性が良い弊社のIZANAGIはサイクリングには今の季節一番おすすめです。被ってみないと分かりづらいのですが、ヘルメットと頭の間に空間をつくっていて通気性とかぶり心地の良さに繋がっています。

また、タイムを1分1秒を争う選手には今夏発売予定の空力の良いAERO-R2がおすすめです。

ーーAERO-R2は松田選手と窪木選手でワンツーを決めた先日の石川クリテリウムでの鮮烈なデビューが記憶に新しいですが、どのようにして出来た製品なのでしょうか?

AERO-R2では、空気の流れと空気の圧力を可視化するCFD(コンピュータシュミレーション)を主に使用しました。それと平行して模型にヘルメットを置いて角度を調整しながら空気をさまざまな角度からあてる風洞実験の2軸で開発を進行しました。

チームブリヂストンサイクリングの選手とは、オリンピックに向けた外部施設での風洞実験を一緒に行っていただき、空力の研究の末、販売に繋がりました。

<写真: CFD解析画像(オージーケーカブト提供)>

ーー開発において大変だった点を教えてください。

やはり、空力の改善に一番苦労しました。モデルのAERO-R1を越えることが出来なければ発売はできないので、形状や構造、開発の時間も限られている中、いかに研究を重ねて空力を良くするかが一番骨を折った部分です。

ーーどのように空力の改善に成功したのでしょうか。

ヘルメットの中にプラスチック状の板(エアパスプレート)を噛ませて空気の流れを制御し、前方の穴から入った空気を後方に流すことで空気抵抗を低減させることに成功しました。設計者の発案から始まったこの構造を具現化させることによって、商品開発まで至りました。

ーー素晴らしい技術ですね。

<写真:チーム供給モデルのAERO-R2デザイン画(オージーケーカブト提供)>

ーー柳原さん、柿山さん、小川さん、ありがとうございました!

発売を目前に一足先に使わせていただいているチームの選手たちから実際に使った時のコメントをいただきました。

◆石川ロードでAERO-R2のデビュー戦勝利を飾った松田祥位選手

「初めて被った時から違和感なく馴染み、被り心地もAERO-R1より良いです。軽いですし、フィット感が良くなりました。」

<写真:松田祥位選手(写真左)とオージーケーカブト柳原さん(写真右)>

◆河野翔輝選手

https://www.instagram.com/p/CgEo1n6hC76/?igshid=YzAyZWRlMzg=

◆徳田優選手、沢田時選手

AERO-R2の紹介動画はこちらをご覧ください。
(徳田選手、沢田選手出演は3分35秒頃から)

事故や怪我から頭を守る確かな安全性を確保しつつ、空気抵抗も低減してくれるサイクリストの必需品であるヘルメット。長年の歴史によって紡ぎ出された技術によって生まれたニューモデルのAERO-R2は今夏発売予定です。(発売の詳細はオージーケーカブトHPのチェックをお願いいたします。)

ぜひトップライダーお墨付きの空力の違いを体感してみてくださいね。

AERO-R2:https://www.ogkkabuto.co.jp/bicycle/products/cycling/aero-r2/aero-r2.html

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Interview&Text: Lynn Watanabe

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