今村2V!チームカーから見るツール・ド・北海道

3年ぶりの開催となったツール・ド・北海道、勝負所を確実にモノにする今村駿介選手が第1ステージと第3ステージの優勝と総合ポイント賞を獲得。松田祥位選手は個人総合成績3位とチームの狙い通りの好成績でレースを終えることができました。

大会運営の皆さま、いつも応援していただいている皆さま、本当にありがとうございました。今回はレース中のチームの動きや、レースの裏側でドタバタ劇が繰り広げられている"チームカーから見るツール・ド・北海道2022"の様子をご紹介します。

ツール・ド・北海道2022 国際大会

日時:9月9日(金)〜9月11日(日)

STAGE1: 札幌市〜共和町 171km

STAGE2: 俱知安町〜俱知安町 186km

STAGE3: 俱知安町〜苫小牧市 173km

出場選手: 窪木一茂、橋本英也、今村駿介、山本哲央、松田祥位

詳細:https://2022.tour-de-hokkaido.or.jp/

9月8日(木)レース前日

朝7時に出発し滞在先のホテルから1.5時間ほど車を走らせ、翌日に走る第一ステージのコースの試走へ。ラスト50kmの下りから最終ゴール地点までを5人で走り、しっかりとコースのレイアウトを頭に入れます。

チームとしては山岳を何とか乗り越え、得意の下りから平坦基調のゴールスプリントに持ち込み勝負したいこのステージ。ゴール地点のスプリントのタイミングは特に入念に確認をしました。

9月9日(金) ツール・ド・北海道第一ステージ

3年ぶりの開催となったツール・ド・北海道1日目、天候は晴れ。

選手のバイクには補給やKOM、ホットスポットなどを把握するためのコースプロフィールが貼り付けられています。今村選手曰く、「あとどの位で頂上なのかが分かり、辛い登りも耐えられた」そう。ちなみに、下の余白はマークが必要な総合上位の選手のゼッケン番号などを記入するためのメモ欄になっています。

第1ステージは札幌市をスタート地点としてゴール地点の共和町までの171kmを走るラインレース。3つの峠を越え、ラスト50kmで下りから平坦でゴールというコースレイアウトになっています。

1日目のチームカーの序列は監督会議でのくじ引きにより2番。2日目以降は総合成績の順位から序列が決められます。チームカーはレースを後ろから追いかけ、選手からの要請があった時には前に上がり戦略を話し合ったり、大会運営側の無線で得たレースの状況を選手に伝えたりなどチームを勝利に導くためのサポートを行います。

宮崎監督が運転し、早川メカニックが後部座席に座り機材トラブル等があった場合はすぐに対応できるように準備。レース中は反対車線は交通規制がないこと、遅れた選手の追い抜きや追い越しなどもあるため常に周りを見ながら安全に気をつけて運転する必要があるためドライビングスキルも必要です。

選手たちも逃げ集団、メイン集団と分かれているため今どの選手の後ろにつくか?という判断が必要な機会も多く、上がったり下がったり、補給のスタッフと連絡を取ったり、他チームの監督と話をしたり、無線から報告される逃げメンバーのチェックやタイム差の確認をしたり...とチームカー内では裏のレースが行われています。

レースの展開としては、1つ目の山岳で後続20名程が千切れ、2つ目の山岳・毛無峠では大集団が崩壊し「プランを無視して逃げに乗ってしまいました!」という今村選手が松田選手と共に各チームエース級が残る16人の先頭集団で走行。

当初の、"5人で山岳をクリアし温存していた窪木選手でスプリント"というプランから、"松田選手が先頭を捌きながら今村選手のスプリントで勝負"に変更し最後の山岳当丸峠へ。

他チームのクライマーに一時離されますが、「自分たちのペースで登りをクリア出来れば下りと平坦で追いつける」という監督の読み通り今村選手と松田選手が最後の峠をパスし下りで先頭集団に追いつきます。

ラスト10km程、泊村の海岸線に出た辺りで山本大喜選手(キナン)がアタック。これに今村選手と増田選手(宇都宮ブリッツェン)が反応し勝負は3名に絞られる。

牽制しながら3名で進み、前日に試走で何度も感触を確認していたラスト500mから今村選手がスプリントを開始。トラック選手のスピードを遺憾なく発揮しそのままゴール、今季ロードレース一勝目を上げました。

今村選手はマラカイト・グリーンジャージの個人総合時間賞を獲得し、チームは暫定総合リーダーに。

<第一ステージ リザルト>

1位 今村駿介

4位 松田祥位

32位 山本哲央

44位 窪木一茂

橋本英也(DNF)

夕食時に、フルーツジュースと炭酸水で祝杯をあげました。

9月10日(土) ツール・ド・北海道第二ステージ

2日目以降は、先頭フィニッシュ後20分以内にゴールできなかった場合DNFとなるフィニッシュ制限時間により、橋本選手を失い4人で戦うことになりました。

総合リーダーのため、チームカーは先頭1番。審判、ニュートラルカーのすぐ後ろを走ります。

第二ステージは前半に700m超の山岳があり、後半は緩やかなアップダウンが続く186kmのコース。チームとしては最初の峠を4人で耐えて登り、スプリントまで持ち込みたいところ。

総合リーダーチームはレースをコントロールする、というロードレース界の暗黙のルールによりレースはBSがコントロール。

逃げ集団7名の中で一番のタイムを持つ選手とはタイム差を約6分擁するため、「逃げは容認しペースで登って大丈夫」ということをチームキャプテンの窪木選手にチームカーから伝え、7名の逃げ集団を容認したメイン集団は、BSのペースで山岳をクリア。これは登りが苦手な我々チームブリヂストンサイクリング にとってはラッキーな展開。

山本哲央選手を中心に牽引し、100km地点までBSが集団をコントロール。平坦基調が続いた100km地点を過ぎアップダウンが始まるとアタック合戦が始まり、松田選手、窪木選手を含む10名の追走集団が先頭を追う形。残り30kmで追走が先頭集団を吸収。

今村選手はこの逃げに乗れずでしたが、松田選手が第一ステージで一位の今村選手と41秒差の4位、十分に総合も狙える位置につけていました。

松田選手には「総合に絡む選手と一緒に動いて」と伝え、チームカーから見守ります。

最後は10名で坂を登り切ったところにあるゴール勝負、松田選手が1位の谷選手(那須ブラーゼン)に+23秒で7位、個人総合成績は3位でフィニッシュ。

<第二ステージ リザルト>

7位 松田祥位

14位 窪木一茂

20位 今村駿介

41位 山本哲央

レース2日目の夜のミーティングは最終日のステージ優勝を取るための議論が白熱しました。選手たちの目も真剣です。

9月11日(日) ツール・ド・北海道第三ステージ

最終日も緑が映える鮮やかな晴天。レース直前までコースやプランについて確認します。

最終日はレース序盤の一級山岳を下ると細かな上りが続き、ラストは下り切ってゴールという173kmのコースレイアウト。チームカーの序列は3番目。

レースがスタートすると、マルコス選手(キナン)と今村選手が抜け出し、これに追走の8名が合流。ローテーションを回しながら協調して逃げ、集団とのタイム差は一時4分弱まで開きます。

チームカーの中では無線で伝えられるタイム差やゼッケン番号で伝えられる逃げている選手、コースマップ上の現在の位置などを確認します。今村選手と集団にいる暫定総合1位の門田選手(EF)とのタイム差は4分19秒。このままタイム差が開けば逆転総合優勝も見えてくるか?というアツい展開に。

山岳を超えて集団とのタイム差は3分弱を推移し、逃げ切りは濃厚に。「このまま逃げ切りで行きたい」という監督の意向を今村選手に伝えます。

2つ目のホットスポットを終えたあたりから、先頭10名の中から山本選手(キナン)、金子選手(東京大学)がアタックし先行。体幹が強く体重もある今村選手は下りでも追いつけると踏み、焦らず後半の登りはペースでクリア。想定通りに下りで2名の先行を吸収し、8名でゴールスプリントへ。

中井選手(シマノ)との僅差を制し、今村選手が優勝!最後のスプリント勝負はチームカーからは見ることができなかったため、無線で「優勝は61番」が伝えられるとチームカーが喜びに沸きました。EFはメイン集団を牽引しタイム差を縮め総合優勝を獲ったため総合優勝は逃しましたが、今村選手はステージ二勝目、松田選手は12位でゴールし個人総合時間順位3位を獲得。

<第三ステージ リザルト>

1位 今村駿介(総合ポイント賞)

12位 松田祥位(個人総合時間順位3位)

窪木一茂(DNF)

山本哲央(DNF)

今回のチームの目的、「世界選手権に向けての高強度のトレーニングとして力を出し切ること」をしっかりと果たし、BSらしい勝ち方でロードチームがひしめく中でしっかりと爪痕を残すことができました。来月に控える世界選手権に向けて、弾みをつけるレースとなりました。

皆さま、沢山の応援を本当にありがとうございました。今月も実業団のロードレース、来月には世界選手権とレースが控えていますので、引き続きチーム・選手の応援をよろしくお願いいたします。

チームの動きや選手の様子なども紹介していく予定ですので、インスタグラムの投稿やストーリーズも合わせてチェックしていただけると幸いです。

▼Instagram

【公式】ANCHOR (@anchor_bridgestone) • Instagram photos and videos

Text: Lynn Watanabe Photo: Satoru Kato, TEAM BRIDGESTONE Cycling



最新記事

Article

前の記事へ 次の記事へ