ロードレースはRPGゲーム?レース中のコミュニケーションの課題と改善策とは 徳田優インタビュー【ツール・ド・おきなわ2022】

皆さま、こんにちは。11月13日には今シーズン最後のレース、ツール・ド・おきなわが開催されました。

210kmのワンウェイ長距離コース。レースの展開としては、前半で逃げに乗ることができず、後半で勝負するために体力を温存して走るように心がけるもチーム内の意思疎通がうまくいかない。そんな中、沢田選手がなんとか最後の先頭集団まで残り、8位を獲得しました。

今回課題に感じた、レース中の選手間のコミュニケーション。監督とのコミュニケーションが難しい今回のような無線のないレースの場合、選手同士で話し合いながらその場その場で判断をしていく必要があります。一つの判断ミスが命取りになることもあるロードレース。若手選手の育成もされている中でロードチームを牽引してきた徳田優選手に、今シーズンの振り返り、そして今回感じたコミュニケーションの面での課題と改善点などを伺いました。

第34回ツール・ド・おきなわ2022大会

男子チャンピオンレース

日時: 11月13日(日)6:45〜12:00

距離: 210km

場所: 名護市営庭球場前交差点

出場選手: 山本哲央、河野翔輝、沢田時、徳田優、兒島直樹

詳細: http://www.tour-de-okinawa.jp/index.html?fbclid=IwAR3Pfj2ly2h9YVvM9M8LmHeZrw_nLkmR7H9nBITHTP8EruZS1OtNG-biZ9c

Live配信: https://youtu.be/wPAoFgl-u-E

<リザルト>

8位 沢田時

40位 徳田優

50位 河野翔輝

55位 山本哲央

57位 兒島直樹

ロードレースはRPGゲーム?レース中のコミュニケーションの課題と改善策とは

ーー今年最後のレースでしたが、いかがでした?

ここ最近の中ではすごく調子が良くて、序盤のアタックにも反応できていました。時さんと哲央のサポートをしながら後半まで自分でもできることを精一杯できたので、良かったかなと思ってます。

一年の締めくくりをツール・ド・おきなわという自分も好きなラインレースで終えられてよかったなと思っています。

ーー今シーズンを振り返っていかがですか?

今年は全然走れていなくて、チームに貢献できる数が少なく歯がゆいシーズンでしたが、最後にしっかりやることやって、レースを終えられてよかったなと思ってます。

今シーズンはあっという間という感じで、ついこの間沖縄で合宿していたのにもう(シーズンが終わり)今日沖縄で走ってるのか、ぐらいの感覚です。

ーー今まででスランプを感じた時期というのはあったのですか?

うまくいかないという意味では今年が一番感じていたかもしれないです。

元々(ロードレースは)100人に一人しか勝てないので勝てないのが当たり前という競技だと思っていますが、それでもなかなかチームに貢献できない期間が長かったシーズンでしたね。

なので、「もっとこうできたんじゃないか」とレースを終えて考える時間がすごく長かった一年でした。

ーーそういった反省はどのように行うのですか?

僕は思ったことは、その都度(他の選手に)伝えるようにしています。それに対して年下で言うと、(山本)哲央とかは「僕はこう思って、ああいう動きをしたんです」とか、「こう思ってました。」というのはレスポンスをくれるので。

まあなんていうんだろう、話し合いという感じですね。こう思ったと伝えても「ああ、そうだったかもしれないです。」という感じになることが多いですが、思ったことは基本的に伝えるようしています。

ーー今日で言うと哲央選手と、どんなことを話したのですか。

哲央から、(レース中に)「100キロから2回目のダムの上りまでの平坦区間を牽引してほしい」という話をされたんですが、僕は、残り80kmあることと、攻撃をして失う枚数によるダメージの方が(牽引のメリットよりも)大きいのでやるべきじゃないっていう話をして。

(それに対して終わってから)僕がなぜやるべきじゃなかったと思ったかとか、哲央がなぜやりたかったのかとかを話していましたね。

ーーどのように折り合いをつけたのでしょう。

牽引の攻撃とまではいかなかったですけど、レースのスピードを止めないぐらいの距離消費みたいなものを心がけてやりました。

ただ、それすらやらない方がよかったっていう話を(終わってから)しました。

若い選手たちも、自分たちで判断しないといけない場面がこれから増えてくると思うので、しっかり反省点、改善点をあげて次に向けて改善していくことを毎回みんなでやっていかないといけないなと思いますね。

ーー徳田選手が全体を見て冷静に判断できるようになった理由はどこに拠るものが大きいと考えますか?

ヨーロッパで走っていたこともあると思いますが、(練習で)他の人と一緒に走る機会や、大学時代から強い先輩にレースについて教えてもらったり、フィードバックしてもらう機会が多かったことだと思います。

ーー若手の選手たちが自分たちで判断していけるようになるためにはどうしたら良いと思いますか?

彼らはトラック競技で世界を舞台に戦う選手たちなので、トラックレースに関して各々のフィードバックは自分で出来ています。ただ、ロードレースに関しては(チームで戦う競技なので)チームとしてこうしたらよかった、という反省が必要だと思います。

今回の場合は、ロードレースの経験もあって展開の引き出しが多くある選手もいれば、そうでない選手もいる。環境的にはフラットで話しやすいとは思いますが、まだ経験が足りないという理由から自分の考えを持てていない状態です。宮崎監督から貰うフィードバックに対しても、言われたままにするのではなくて自分の考えを伝えたり、話し合うというのも大事だと思いますね。

ーーチームで意見しながら最終的に決断を下す、というのはどの環境でもあることですが、レース真っ最中に話し合って、話す時間も十分でない状態で決断しなくてはいけないのは少し特殊な環境ですよね。

そうですね。ただ、自分は元々ゲーム好きというのもあるので、ロードレースのそういうところが楽しいというか。僕の中では、みんなで協力して強いボスを倒す、みたいな楽しさがあります。

ーー今回のレースを例えるならどのようなゲームだったのですか?

今日のレースで言うと、どんな魔法やアイテムを使ったとしても、絶対にボスに殺されちゃいけないっていうゲームですかね。RPG(ロールプレイングゲーム)のような感じで、すごい強力なボスに攻撃されるけど200キロ耐え切って目標をクリアするゲーム、という感じです。

今回の目標であるUCIポイントを獲るために、10位以内に入れそうな人を残りのメンバーでサポートしてその人の風避けになったり、補給を届けて最後まで守り切るのがミッション、という感じですかね。

ーーそうすると、今回はコミュニケーションの問題はあったもののミッションは達成したということですかね。

そうですね。

ーー(ゲームに例えると)徳田選手が持っていたアイテムはなんだったんでしょう?

僕は経験ですかね。ツール・ド・おきなわも6回目でコースも知っているので、"この位のタイム差なら下で追いつけるな"だったり、どこで誰が攻撃しているか、というのも何度も走っている分読める部分もあったので。なので、課題は残りますがその辺りをみんなに伝えて、コミュニケーションを取りながら走れたことはよかったかなと思います。

ーーありがとうございました。

200kmを越える国内最大規模のラインレースであるツール・ド・おきなわ。今回感じたコミュニケーションの難しさも、それぞれの「アイテム」を駆使して経験を積み、チーム内でのフィードバックを続けることで改善していきたいですね。

ツール・ド・おきなわを持って今シーズンの全てのレースを終え、選手たちは少しの時間オフを取り、来シーズンに備えて行きます。

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皆さま、今シーズンも沢山の応援をありがとうございました!

引き続き、チームの応援をよろしくお願いいたします。

Text: Lynn Watanabe Photo: Satoru Kato








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