全日本選手権トラック2023【最終日】男子個人パシュートは松田が追抜勝/男子1kmTTで新山が表彰台/男子ポイントレースを兒島が2連覇
全日本選手権トラック2023【最終日】男子個人パシュートは松田が追抜勝/男子1kmTTで新山が表彰台/男子ポイントレースを兒島が2連覇
◆ 日 程:2023年5月12日(金)〜5月15日(月)
◆ 大 会 名:第92回 全日本自転車競技選手権大会 トラックレース
◆ 開 催 地:静岡県伊豆市・伊豆ベロドローム
【男子個人パシュート】結果にこだわった松田と記録にこだわった窪木
◆ 日 程:2023年5月15日(月)
◆ 参加選手:窪木一茂、今村駿介、山本哲央、松田祥位、岡本勝哉
250mトラックx 16周を走る4km個人パシュートで、松田祥位が勝利しました。決勝の1・2位決定戦で、対戦相手の窪木一茂を6周目で追い抜いての勝利でした。
松田
個人で走る個人パシュートは、決勝よりも予選の結果を気にする選手が多い種目です。
世界レースシーンでの名刺のような日本チャンピオンを取るための全日本選手権、個人パシュートでももちろんそうですが、相手よりもタイム、日本記録の更新を狙いたいのが選手の本音。
しかも決勝では対戦式となり、相手に追いついた時点で勝敗が決定し、それこそ目の前の相手がタイムへの邪魔に。そのため純粋に記録に挑戦するなら、1人で走るタイムトライアル式の予選が具合いいのです。
松田
現在の日本記録はチームブリヂストン選手の松田がフランスのパリ郊外サンカンタン・アン・イブリヌで出した4分10秒521。そして今回の予選結果は以下の通り。記録更新からは程遠く。
*男子個人パシュート 予選リザルト
1 窪木 一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:22.578
2 松田 祥位(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:24.690
3 安達光伸(朝日大学)4.26.656
5 山本 哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4.27.872
8 今村 駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:30.064
10 岡本 勝哉(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4:32.319
そして決勝の1・2決定戦で窪木と松田が対戦しましたが、勝敗は序盤から速さの出なかった窪木を8周目に松田が追いつき勝利しました。なんというか、不完全燃焼な感じではあります。窪木にその理由を聞きます。
「日本新記録を出すために準備してきました。でも予選でいろいろ問題もあってタイムが出なくて。ただ去年よりも強くなってる自分がいるのわかってたので、次こそはと思って、ギアももう少しカケてやりました。
そんなふうに自分の思うように走って2周目のとき、設定タイムより0.5秒遅く、ここからは這い上がれないと思って」(窪木)
窪木
一方、アジアチャンピオンのジャージを着て走った松田。チャンピオンである以上、結果にこだわるのは選手として当たり前のことをした松田と、結果よりも記録に挑戦し、自分の思うラップタイムに届かなかった時点で踏みやめた窪木、という構図となりました。
「窪木さんも本調子じゃないんで、多分今度のアジア選手権で、記録の出し合いになると思う、そこで本当の勝負です。この種目は相手というよりも、自分って感じなんで。みんな自分の思っている記録が出せないと、ちょっとモヤってしちゃうんで」(松田
*男子個人パシュート リザルト
1 松田 祥位(TEAM BRIDGESTONE Cycling)追抜勝
2 窪木 一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)OVT
3 安達光伸(朝日大学)4.25.051
【男子1kmタイムトライアル】専門的な経験が問われる1000m TTに臨んだ新山が3位に
◆ 日 程:2023年5月15日(月)
◆ 参加選手:新山響平
250mトラックを4周、1kmの距離を個人で走るタイムトライアル、この種目に新山響平が参戦し、3位となりました。
トップタイムにして1分強の時間を刻むこの競技。全力を尽くし1分を踏み倒すと人の体力の限界に加え、タイム短縮への細かな知識と経験がものを言う世界です。
これに新山は、後方からのまくり上げ勝利を可能にする身体能力で挑戦しました。
「とりあえず全開で突っ込んで、あとはもう我慢する予定でしたけど、あまりスピード乗らなかったですね。乗らなかった分ずっと引っかかった状態で苦しかったです。
うまくもうちょっと力抜いて、グーっと綺麗に回ってくれれば良かったんですけど、スピードもなかった分、ちょっと自分で足しながら走ってたんで、消耗も大きかったです。
(練習を)やってない分、スタンディングスタートとかが遅いのは分かってましたけど、もうちょっと乗るかなと思ったんですけど無くてその分苦しくなりましたが、まあライン取りとしては上手くラインもとれましたしフォームも固められましたし。
今回の全日本は全般に、気持ちが楽に臨んだ分楽しめましたし、でも集中しなきゃいけないとこは集中できて、今まで味わったことのない大会だったかなと思います」
*男子1kmタイムトライアル リザルト
1 市田龍生都(中央大学)1:01.040
2 中石湊(北海道自転車競技連盟)1:01.307
3 新山響平(TEAM BRIDGESTONE Cycling)1:02.454
【男子ポイントレース】状況を見てクレバーに対応できたのが兒島の勝因
◆ 日 程:2023年5月15日(月)
◆ 参加選手:窪木一茂、橋本英也、今村駿介、兒島直樹、松田祥位
兒島
4日間に渡り開催された、2023年の全日本トラック。その優秀の日を締めくくる最終レース、男子ポイントレースで兒島直樹が勝利しました。もう皆が疲労の中から力を絞り出し挑んだこのレースを勝利した兒島はこの種目、昨年に続く2連勝です。
トラックを120周し、10周ごとの着順で最大5ポイントを獲得し、その合計を競います。12回のポイント周回があり、最終周回のポイントは倍。ラップを決めると一挙に20ポイント獲得するのがポイントレースのルールです。
4日間続いた今年の全日本選手権で、勢いに乗っているのが松田祥位。このポイントレースでもスタートから積極的に前で展開し、序盤にふとした隙をついてラップを獲得しました。
その松田に食らいついて行ったのが、今大会まだ個人種目の勝利のない兒島です。先のネイションズカップ第2戦のエジプト戦で兒島は、オムニアムで予選落ちを経験しています。
「ネーションズカップのエジプト大会で予選落ちしてしまって。その予選もポイントレースだったんですが、そのあとナショナルチームのみんなで動画を見返したんですよ。僕のその予選レース、何が悪いのかって。
見返したら、本当に無駄なところでばっかり足を使ってたのが際立ったんです。ですからもっと周りを見れるように意識して、勉強して」(兒島)
「周りが見えるようになってきています」と言うだけあって、このレースでの兒島はよく立ち回りました。ポイント周回では着実にスプリントで飛び出し、ラップの機会を伺います。
その「見える」動きが際立ったのが終盤。レース勘に優れる橋本英也がスパンと飛び出し、そこに今村駿介が合流。
橋本がラップをとって最終ポイントで一発逆転、というのもあり得る中で兒島は、自分が勝つにはラップされないしかない、というところで捨て身で集団を牽引してポイントの1位を守り切り、最後は松田と握手をしてのフィニッシュでした。
松田、兒島、橋本
「今まではがむしゃらにただ走ってるだけっていう感じだったので。それで去年のアジア選手権のタイトルを取り損ねた経験もありました。
その辺は動画も見返しつつ勉強して、レースを見ながら展開組んで行けるようにちょっとずつがんばっているので、それが良かったのかなと思います。」(兒島)
*男子ポイントレース リザルト
1 兒島直樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)45pts
2 松田祥位(TEAM BRIDGESTONE Cycling)40pts
3 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)38pts
4 今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)22pts
7 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)6pts
これで、4日間に渡った、2023年全日本トラックは終了です。なんですが、今週末からすぐに、今度はチームの大きな目標の一つである国際ロードレース、ツアー・オブ・ジャパンが始まります。こちらもぜひ、応援をお願いします。
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