【2023ロード全日本選手権】振るわぬ結果に奮い立つ、チームの新たな心持ち

【2023ロード全日本選手権】振るわぬ結果に奮い立つ、チームの新たな心持ち

年に一度開催されるロードの全日本選手権。その年度の全日本チャンピオンを決定する一連の大会群に出場したチームブリヂストン選手たち。
その結果は、個人タイムトライアルで河野翔輝が19位、男子U23ロードレースで岡本勝哉が19位、そして男子エリートロードレースでは河野、山本哲央共にDNFでした。
ままならぬ今年の全日本選手権でした。それぞれの走りをお伝えします。


(河野)

2023ロード全日本、出場は河野、山本、岡本の3名

日本におけるその年度のチャンピオンを決めるワンデーレースである全日本選手権。チームブリヂストンが最重視するロードレースのひとつです。

しかし今年は、直前にトラックのアジア選手権があり、8月初頭にはトラックの世界選手権が控えています。
世界選手権は、パリ2024オリンピックへの出場枠を得られる最も大事な大会、そのためツアー・オブ・ジャパンから毎週のように大きなレースが続いていたチーム選手は、休養を選びました。
レース出場は、男子エリートクラスには河野翔輝、山本哲央、そしてU23の年齢である岡本勝哉の3名でした。



(河野)

個人TT/河野、思うようにペース上げられず19位

レース名:第26回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会
開催日:2023年6月23日(金)
開催地:静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンター
コース長:29km=5.8km x 5周
参加選手:河野翔輝

個人タイムトライアル(TT)の全日本選手権、登りを含む5.8kmのコースを5周するレイアウトです。コースプロフィールは基本的にアップ&ダウンの繰り返し、ペダリングでスピードを乗せられる平地はほとんどありません。登っては下りで回復する、走り心地は登りのみが繰り返すようなもの。チームブリヂストン選手の苦手なタイプのコースです。


(河野)

ここに出場したのは河野のみ。入念な試走をもとにブリヂストン・アンカーのTTバイク《RT9》を選び、前輪には上りでの軽さを求めて《シマノ・DURA-ACE 9100 TU-R C40》を、後輪にはディスクホイールの《シマノ・PRO Textreme TU-R》で。エアロヘルメットの《OGKカブト・SP5》に空気抵抗を軽減するワンピース《WAVE ONE・スピードエアロスーツ》で出場しました。

29kmのコース、タイムで48分を切るのを目標にしましたが、登りの印象が強いコースに苦戦。さらにコーナーの連続する切り返しに、腕を前に突き出すDHバーポジションでの操作が思うようにいかず、それに伴いペースも上がらず、19位でのフィニッシュとなりました。
 

(河野)

「脳みそが溶けそうでした」というのが帰還後の河野の第一声。タイムはトップタイムより6分遅れの50分39秒台。目標よりも大きく遅れた走りでした。

「踏み切れた感じはあるんですが、速かった選手はみな、コースの全てをDHバーを握って走っていました。同じワット数(パワー)で走っていても、(空気抵抗の少ない) DHバーを握った方が 速いのは当たり前なので、その操作の練習量の差とバイクコントロールの差が出たと思います。
  
今回はこのDHバーでの練習量が少なかったと感じたレースでした。今度はもう少しTTバイクとDHバーでの練習をしっかり積んで勝負に挑み、タイトルを獲りたいです」と今後への意欲を見せました。

*リザルト/男子エリート 個人タイムトライアル
1 小石祐馬 (JCL TEAM UKYO)44:32.49
2 山本大喜 (JCL TEAM UKYO)+0:28.04
3 新城幸也 (JPCA) +0:50.64
19 河野翔輝 (チームブリヂストンサイクリング)+6:06.95



(岡本)

U23/運もレースのうち、後方に追いやられた岡本

レース名 : 第91回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース U23
開催日 : 2023年6月24日(土)
開催地 : 静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンター
コース長 : 112km=8.0km x 14周
参加選手 : 岡本勝哉

U23=アンダー23、すなわち22才までの選手が参加するクラスへの参加は、現在21才の岡本のみ。持ち前のスピードと勝負強さで、優勝を目標に走りました。

コースプロフィールは個人TTと同じく登りのみが繰り返すような走り心地。気温が高くなる予報でしたが、涼しさよりも空気抵抗を減らすことの利点を優先、ヘルメットには《OGKカブト・AERO R2》を選んで出場しました。バイクはもちろん、走り慣れた《ブリヂスト・アンカー RP9》です。


(岡本)

レース序盤から、重要な動きを逃さないよう、常に集団前方に位置していた岡本。着実なレース運びを終始進めてきましたが、レース終盤の10周目に集団がぐんとペースアップ。このとき後方で体力回復に努めていた岡本でしたが、さらにタイミング悪く集団で落車が発生。

落車の影響を受けなかったチームがアタックを始めますが、岡本は後方に取り残されてしまいます。

「ここから全力で追いかけたんですけど、ちょっと追いつくまではいかなくて、ここでだいぶ体力を使ってしまいました」(岡本)。


(岡本)

その後もあきらめずに走り続けましたが、結果19位でのフィニッシュ。

「序盤からかなり暑くて。暑さに慣れるためのトレーニングもしてはいたんですが、暑かったです。
ですが、毎周回にスタッフから冷たい飲み物をもらえて、水も体にかけながら、上手く対応できたんじゃないかなとは思います。

落車に巻き込まれずに残っていても、最後の登りでは多分、前に付いているのが厳しかったかもしれません。
ただ、もうちょっと上位でゴールはできたと思うのが、悔しいところです」

と、21才の岡本は今日の走りを振り返りました。込み上げてくる感情を飲み込みながら、一言ずつ、言葉を重ねました。
ただ運も勝負どころを決める大きなレースの要素です。それ見極める立ち回りをさらに磨くと岡本は、この日決意したことでしょう。


(岡本)

*リザルト/2023年ロードレース全日本選手権 男子U23
1 鎌田晃輝 (VC FUKUOKA) 3:22:12
2 津田悠義 (KINAN Racing Team) +0:00
3 上野颯斗 (京都産業大学) +0:03
19 岡本勝哉 (チームブリヂストンサイクリング) +10:13



(山本)

男子エリート:このDNFは、チームの新たなスタートを意味します

レース名 : 第91回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース 男子エリート
開催日 : 2023年6月25日(日)
開催地 : 静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンター
コース長 : 160km=8.0km x 20周
参加選手 : 河野翔輝、山本哲央

出走131名、完走者21名。今年のロードレース全日本選手権の男子エリートは、とてつもないサバイバル・レースとなりました。

曇りの天候が一転、真夏のような日差しが差して日向の気温は一気に上昇。
その状況を見越してヘルメットには《OGKカブト・IZANAGI》をセレクトした河野と山本の参戦2名。アイウェアには《オークリー》、河野が《ENCODER Prizm Road》、山本が《SUTRO Prizm Trail Torch》のチョイスです。

《ブリヂストン・アンカー RP9》に、平坦の少ないコースのため《シマノ・DURA-ACE 9200 C36 TL》のホイールを前後に履き、フルメンバーでの参戦となるライバルチームに挑みます。

しかし今日は、このコースプロフィールと熱さにより、チームプレー以上に選手それぞれの地脚が勝負を決めたように見えたレースでした。


(河野)

タフなレースを粘り切り、少しでも上位でフィニッシュすることを目標とした2人。
とにかく暑さに負けることのないよう、これを心がけて走りました。
位置取りや補給に細心の注意を払って走り、前方で粘りに粘りましたが、山本は13周目、河野は14周目に遅れ、完走はなりませんでした。

無念のDNF、すなわちレースを降ろさせられた選手2人に、今日の気持ちを聞きました。


(河野)

「僕自身の体はすごく動いてくれましたし、機材やサポートも本当に完璧なぐらい良かったです。
ただ、 そもそも僕のフィジカルの足りなさが出たんじゃないかなって思います。
登りのコースだから体の大きい人は難しいとか、そういう言い訳はしたくないです。
どんな勝負事も、みんな平等ですから」(河野)


(山本)

「キツかったです。初めから覚悟はしていましたが、その通りキツかったです。
今シーズンはここまで、転んでしまうことが多くて、気持ちが沈んでいたところもありましたが、次のレースまで一か月弱あります。
そこまでにしっかり体を作って、またちゃんと戦える状態にして、臨みたいです」(山本)

このレースでチームブリヂストンサイクリング選手は、勝利には及びませんでしたが、決して負けたわけではありません。次の勝利へ繋げるためのステップです。
選手、スタッフ皆が全てを尽くし、次のレースを楽しみにできる気持ちで、心を満たせた週末となりました。


(早川メカ)

DNFというこの結果は、チームの新たなスタートを意味しています。
チーム員全てが奮い立ったこの気持ちを、皆様の熱い声援で、ぜひ力強く後押ししてください。

これからもチームブリヂストンサイクリングへの応援を、なにとぞよろしくお願いいたします。

*リザルト/2023年ロードレース全日本選手権 男子エリート
1 山本大喜 (JCL TEAM UKYO) 4:42:14
2 岡篤志 (JCL TEAM UKYO) +1:33
3 山本元喜 (KINAN Racing Team) +1:38
-- 河野翔輝 (チームブリヂストンサイクリング) DNF
-- 山本哲央 (チームブリヂストンサイクリング) DNF

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