【杉浦佳子選手・講演】『夢に向かう努力と覚悟』〜諦めない力〜/静岡県磐田市立竜洋中学校にて
【杉浦佳子選手・講演】『夢に向かう努力と覚悟』〜諦めない力〜/静岡県磐田市立竜洋中学校にて
2023年11月6日(月)、チームブリヂストンの機材サポート選手である杉浦佳子選手(総合メディカル/TEAM EMMA Cycling)が、静岡県磐田市立竜洋中学校にて講演を行いました。静岡県掛川市出身の杉浦選手、東京2020パラリンピックのレガシーを伝える活動の一環です。

講演のタイトルは、『夢に向かう努力と覚悟』 〜諦めない力〜
彼女が現在、パラアスリートとして活躍する、それまでの道筋。生死をさまよう大怪我を負い、そこからパラリンピックで金メダルを獲るまでの、葛藤と乗り越えたもの、そして努力を重ねるその方法。夢を実現した具体的なプロセスです。

竜洋中学校の1年生、140名ほどが聞いてくれました。

杉浦佳子選手は、東京2020パラリンピックでふたつの金メダルを獲得したパラサイクリストです。先日のアジア競技大会でも銀メダル。2023年世界選手権では2種目で世界チャンピオンになっています。パリ2024パラリンピックでの活躍にも、大きく期待のかかる選手です。

会場に持ち込んでいただいたのは、東京2020パラリンピックで獲ったふたつの金メダル。そして世界チャンピオンの証であるアルカンシエルが入ったシマノのレーシングシューズ、KABUTOのヘルメット、そして杉浦選手と一緒にメダルを目指すブリヂストン・アンカーのRP9です。「機材は日本ブランドのものを使っています」。

実家が曽祖母から続く薬局だった杉浦選手。薬剤師になるのは、子供の頃からの夢でした。ですが高校での学力テストは学年最下位、小学校低学年の時の体育成績は2。がんばって薬学部に入学します。

薬剤師になってから、夢を描きました。
・障害のある方のご自宅にお薬をお届けする仕事
・「こうなるとわかっていたら、もっと気をつけたのに」
・患者にさせないための薬局

それがある日、趣味のロードレース中に転倒、大怪我を負います。

頭と脳、上半身を大きく損傷します。

怪我からは回復するものの障害は残ります。その症状は、
1)記憶が10分ほどしか持たない
2)音が言葉に聞こえず会話ができない
3)漢字が読めない
4)右腕はほとんど動かない
5)歩行困難

伝えられたのは、
・薬剤師には戻れない
・自転車には乗れない

薬剤師に戻る、自転車に乗る、というのが新たな夢に。
その夢に向かってまずしたことは、日常生活をこそ送れるよう、生きることの再構築。
記憶を維持するためのリハビリ
・日記をつける
・日々を記録 睡眠、体重、体脂肪率、食事、練習記録
・脳トレ クロスワードパズル、数独、英単語クイズ
カバーするために
・すぐやる
・TO DO リストには時間軸をつける
・すぐにできないことにはリマインダー

そして、パラリンピックに出場する、という大きな夢に向かってしたこと。
・今できる小さな目標を持つ
・指導してくれる人の存在
・支えてくれる人の存在
・すみません→ ありがとう
・大事なレースで不安を緊張に

これらが、パラリンピックでの金メダルへとつながりました。

今も、パリ2024パラリンピックでの金メダル獲得という夢に向かっています。
もう一度、みんなの喜ぶ顔が見たいから。ありがとうが聞きたいから。
今、がんばっているみなさんへ。
・挫折 どん底に落ちたら上がるしかない!
・失敗は成功のもと! チャレンジ!
・一緒にがんばる仲間を作りましょう
・適度な緊張はOK! やるべきことをやって今ある力を発揮しましょう
・「ありがとう」の連鎖を作りましょう

夢を持ち、それに向かって日々積み上げることこそが、その夢を実現させること。
これを薬剤師である杉浦選手の、患者さんに語りかけるような暖かく柔らかな口調で、伝えてくれました。

ぜひ多くの方に聞いていただきたいと思える講演でした。
今後も、静岡県内の学校での杉浦選手の公演があるそうです。

左から、磐田市立竜洋中学校の鈴木校長先生、杉浦選手、小杉教頭先生。
この度は聴講、取材を許可いただきまして、ありがとうございました。

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