【ジャパントラックカップ I & II】3日間に及ぶトラック国際レース2連戦の模様
ジャパントラックカップ I & II、3日間に及ぶトラック国際レース2連戦の模様
名称:2023ジャパントラックカップ I & II
日時:2023年11月16日(木)〜18日(土)
開催地:静岡県伊豆市・伊豆ベロドローム
参加選手:窪木一茂、橋本英也、太田りゆ、今村駿介、河野翔輝、山本哲央、兒島直樹、松田祥位、岡本勝哉
2023年11月16-18日にかけ開催されたジャパントラックカップ。UCIポイントを獲得できる国際大会であるこのレースにチームブリヂストンサイクリングが出場、多くの種目で勝利を勝ち取りました。それぞれの詳細をお伝えします。
ジャパントラックカップ I 2023/11/16
男子オムニアム/ポイントレースで逆転、窪木が勝利
*スクラッチ
序盤からチームブリヂストンサイクリング選手たちが前方で展開する形に。中盤には山本とグラン・クンツ選手(Star Track Cycling)の2名が逃げを決め、ラップを狙うも叶わず途中で吸収。ラスト3周、選手たちは大きくまとまって牽制が始まり最終周回でクンツ選手が抜け出しトップ、2位に兒島、3位に橋本が入ります。
スクラッチ リザルト
1 グラン・クンズ(Star Track Cycling)
2 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
3 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)
*テンポレース
序盤に兒島が先頭へ。そのまま数周回にわたり先頭ポイントを稼ぎます。その後には橋本が先頭に出てポイントを獲得していきます。橋本がいったん集団に戻って安定したところに最後、最終で今村が先頭に。そのまま先頭ポイント取りきってレースのフィニッシュへ。ポイントを多く稼いだ橋本がトップ、ポイントリーダーに。
テンポレース リザルト
1 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)
2 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
3 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
*エリミネーション
チームブリヂストン選手が最後の6名に残ります。この中から先頭に出た橋本が内側に閉ざされエリミネート。ここから走りが熾烈になり、残り4名となりほぼ同着となった中で今村が除外されます。残り3周で遅れた山本が除外、残る窪木と兒島の勝負、兒島が外から仕掛けるも内側で速度を緩めなかった窪木が競り切り勝利しました。
エリミネーション リザルト
1 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
2 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
3 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)
*ポイントレース
前半にクンツ選手が飛び出し、それを今村が追います。速度を増した二人は集団をラップ。緩んだ集団から窪木が独走で逃げを決め、何周回か一人で走りながら先頭ポイントを3回獲得、さらにラップを決めて一気に2位へ。
さらにクンツ選手が逃げを決めて山本が反応、2人でラップを狙うも届かず集団へ。残り10周、粘り続けた窪木はフィニッシュ周回の直前で加速、前をゆく橋本を差して最終のダブルポイントで逆転、優勝しました。2位には着実にポイントを稼ぎ続けた今村が入りました。
*リザルト 2023/11/16 ジャパントラックカップ I 男子オムニアム
1 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)155pts
2 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)142pts
3 グラント・クンズ(Star Track Cycling)129pts
4 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)128pts
5 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)122pts
6 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)117pts
8 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)93pts
10 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)53pts
-- 河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)DNF
女子スプリント/決勝で太田は積極的に勝負に挑み、届かず2位
予選の200mFTTを10.799の2位で進んだ太田。第1回戦では力の差を見せて先行勝利。準決勝から3戦中2勝での勝ち上がりとなり、これも危なげない走りで2連勝して決勝に進出します。
決勝では佐藤水菜選手(楽天Kドリームス)との対戦。第1戦で太田は積極的に攻めて先行するも、最終コーナーからのゴールフィニッシュ前で刺されてしまいます。第2対戦では後方からの捲り上げを狙うも叶わず、2位となりました。
*リザルト 2023/11/16 ジャパントラックカップ I 女子スプリント
1 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
2 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)
3 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
男子マディソン/窪木・兒島ペアが圧勝、チームブリヂストンが上位独占
マディソンでは、チームブリヂストン選手は4チームが出場。次のペアで組みました。
チーム 1=窪木・兒島、チーム2=橋本・山本、チーム3=河野・松田、チーム4 今村・岡本
レース序盤からチーム1が快調に飛ばし、前半3回のポイント周回をトップ通過。序盤で他チームとのポイント差をつけます。快調に先頭で展開を続ける中、レースの中盤ほどでチームブリヂストンの3チームが上位を独占。
レースは後半に入り、チーム1はそのまま先頭付近、ポイント周回では着実なスプリントで先着しトップポイントを重ねます。続くチーム2、3、4はほぼ同得点、チーム同士の争いが激しくなりますが、すでに優勝を決められるポイントを獲得したチーム1が圧倒的な強さで制しました。
*リザルト 2023/11/16 ジャパントラックカップ I 男子マディソン
1 チームブリヂストンサイクリング 1(窪木一茂・兒島直樹)57pts
2 チームブリヂストンサイクリング 3(橋本英也・山本哲央)27pts
3 チームブリヂストンサイクリング 4(今村駿介・岡本勝哉)25pts
4 チームブリヂストンサイクリング 2(河野翔輝・松田祥位)19pts
女子ケイリン/2番手から最後に遅れをとった太田は2位
決勝に勝ち上がった太田。決勝では後方からの追い上げに。最終周回を前に先頭へと仕掛け、佐藤水菜選手(楽天Kドリームス)に続く2番手につけます。最終周で太田は佐藤選手を追い上げ、最終コーナーからフィニッシュラインで加速するも惜しくも届かず、2位に。
*リザルト 2023/11/16 ジャパントラックカップ I 女子ケイリン
1 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
2 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)
3 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
ジャパントラックカップ II 2023/11/17-18
女子スプリント/フィニッシュ際まで追い上げるも届かず太田は2位に
女子スプリントに出場した太田。第1戦と準決勝と太田は、相手を先行しそのまま前を譲ることなくフィニッシュ。順調に決勝に進出します。
決勝の対戦相手は佐藤水菜選手(チーム楽天Kドリームス)。太田は2周目から仕掛け、最終周回の最終コーナーまで先行します。しかしここからのフィニッシュスプリントで佐藤選手が加速し先着、太田は1戦目を落とします。
3対戦中2先勝が勝ち上がるスプリントの2戦目。2人は牽制し合いながらゆっくりとした速度から最終周回に。前をゆく佐藤を抜き去るべく加速した太田、1周をフルに使って仕掛け続けるも最後まで佐藤を抜くことができずこの対戦を落とし、結果2位となりました。
*リザルト 2023/11/17 ジャパントラックカップ II 女子スプリント
1 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
2 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)
3 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
男子マディソン/窪木・兒島ペアが前戦に続き圧勝
男子マディソンにチームブリヂストンサイクリングから4チームが出場。ペアとジャージの色は以下の通りです。山本は人数の足りない海外選手とペアを組み、代わりに徳田が代打で出場します。
チーム1= 窪木・兒島、チーム2 黒=河野・松田、チーム3 赤=橋本・徳田、チーム4 黄=岡本・今村
序盤からチーム1が積極的に飛ばし、ほぼレースを支配。1着ポイントを重ねます。続くのが黄色のチーム4今村と岡本のペア。チーム1に迫りポイント周回のスプリントで競るも先行され、なかなか1着ポイントを取れません。さらに残り10周でチーム1が駄目押しのようにラップを獲得、大きな差で勝利しました。
*リザルト 2023/11/17 ジャパントラックカップII 男子マディソン
1 チームブリヂストンサイクリング1(窪木一茂・兒島直樹)83pts
2 チームブリヂストンサイクリング4(今村駿介・岡本勝哉)32pts
3 チームブリヂストンサイクリング2(松田祥位・河野翔輝)20pts
-- チームブリヂストンサイクリング3(橋本英也・徳田優)DNF
男子オムニアム/兒島が得意のポイントレース、3回のラップで逆転
*スクラッチ
レースは終盤まで大きく荒れることなく先頭交代を集団で繰り返し、淡々と周回を重ねます。残り5周で1名の選手が逃げ、残り3周で2名の選手が加わって3名の逃げに。残り2周、その中からクンズ選手が1人抜け、後方集団は牽制して速度を大幅に落とし、そのまま前を逃したままフィニッシュ。チーム選手のトップ順位は窪木の4位。
スクラッチ リザルト
1 クンズ・グラン
2 チュウ・スンワイ
3 イン・パク・ハン
*テンポレース
スタート直後から窪木が抜け出し先頭で数周。次に松田が先頭に出ます。その後チーム選手を中心に6名の先頭グループができ、この6名で先頭ポイントを分け合います。
そのグループに、じわじわと後方から選手たちが追いつき、またも大きな集団に。集団は速度を上げて少しずつ人数を減らし、チーム選手3名を含む4名に。その展開の中で、橋本がスプリントで、先頭を譲らず着実にを稼ぎます。
終盤にはまた大きな集団に。そこから兒島、橋本、窪木とポイントを獲得する中、抜け出したクンズ選手がラップを獲得してポイント逆転、この種目を制します。
テンポレース リザルト
1 クンズ・グラン
2 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)
3 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
*エリミネーション
チーム選手が残り4人まで残ります。そこからフィニッシュに向けて残った窪木、橋本、今村、兒島の4名は本格的スプリント勝負に。
まずは内側の今村が除外。速度が落ちない3名から兒島が除外、窪木と橋本の真っ向勝負。見合うふたりから一瞬の隙をつき窪木がアタック、反応しきれなかった橋本は勝負を諦め、窪木が最後まで残りました。
エリミネーション リザルト
1 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)
2 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)
3 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
*ポイントレース
これまでの総合順位は橋本、窪木、兒島の順。レース中盤に兒島とクンズ選手が2人で逃げを決めます。2人は着実に高ポイントを重ねていきながら、ラップを取ります。
ここで窪木と橋本が積極的に攻め始めますが、1位の兒島のポイントは2位と大きな差。そこに終盤、兒島は一気に加速してラップ、その後さらに加速してさらにラップ。ラップを取る得意の攻め方で、2位以下を大きくポイントで突き放し、勝利しました。2位には橋本が、3位には窪木が入りました。
*リザルト 2023/11/18 ジャパントラックカップII 男子オムニアム
1 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)178pts
2 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)146pts
3 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)136pts
5 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)123pts
6 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング)121pts
8 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)74pts
9 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)69pts
-- 河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)DNF
女子ケイリン/決勝で満を辞して仕掛け、フィニッシュを制した太田
序盤は中程での展開となった太田。その後残り2周で活路を見出して前へ。そのまま前をいく選手をフィニッシュで指して先行、決勝に勝ち上がります。
決勝は、とても静かに進行しました。そこにラスト2周、太田は少し車間を開けて力を込め、大外から爆発的な加速で一気に仕掛け、そのスピードで最終コーナーへ。
外から佐藤選手が激しく追い上げてくるも、フィニッシュでは太田が勝利しました。
*リザルト 2023/11/18 ジャパントラックカップII 女子ケイリン
1 太田りゆ(チームブリヂストンサイクリング)
2 佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)
3 梅川風子(チーム楽天Kドリームス)
チームブリヂストン選手たちの声
3日間のレースで印象に残ったことは?
*窪木一茂
「優勝もできましたしよかったのですが、もちろん満足してませんし、その先を見ています。この結果に執着するのではなくて、パリ2024オリンピックを見据えて、これから休まず練習です」
*橋本英也
「タイトルなどがかかった大事な大会でないところで、オムニアムを走れたこと自体が良かったです。今回はチャンピオンズリーグの参戦で時差ボケも疲れもあり、体調が万全ではない中でどれだけ走れるかを確かめられたレースでした」
*太田りゆ
「3日間で合計16本走りましたが、全体的に感情の起伏が激しくなってしまったレースでした。最後のケイリンでは、あの場所で、自分の特徴を最も活かした自分らしい走りをしようと思いました。ただ、思いきり覚悟しなければいけませんでしたし、周回中には『怖がらるな!』と自分に言い聞かせて走りました」
*今村駿介
「今回は怪我なく走り終えられたことが1番良かったです。(アジア大会での骨折後から)体力も無理に戻している分、チームのみんなに付いては行けるんですが、元気はありませんでした。ただこれでみんなの強さもわかりましたし、これからまた練習を積んでいきます」
*兒島直樹
「1番印象に残っているのは初日のオムニアムです。結果も良くなかったですし、走りの面でも気持ちの面でも良い状態ではありませんでした。反省すべき点です。
2度のマディソンと最終日のオムニアムは確かに良かったんですが、レースに向き合う姿勢や気持ちの部分が弱かったです。これから競技を続ける上でとても大事な部分ではあるのに、真摯に向き合えていなかったのかなと反省しています。
ただその失敗があったからこそ、今日のレースで勝ちたいと言う気持ちが結果に現れたんだと思います。積極性のある走り、『兒島らしさ』というのを観客の皆さんに見ていただけたのは成功かなと思っています」
*山本哲央
「3日間の後半には、タイミングをつかめば強いチームメンバーからの逃げもでき、戦えるのが感じられました。3日間を通して走りは悪くありませんでしたが、順位的には下にいるので、これから1つでも上の順位を取れるよう、技術的な部分を中心に、改善できるところはしっかり改善していきます」
*河野翔輝
「この3日間を通して、一年間のピークの合わせ方、コンディションの作り方を見直さなければいけないなと感じました。今年は無理をしなくてはいけない場面が多くあり、そこから一旦落ち着いて9月にピークは持って来れましたが、今回の良くなかった成績は、そのツケが回ったのかなと感じています。ここから自分の体と相談しながら、来年に向けた体作りをきちんとしていきたいと思います」
*松田祥位
「そんなに良い成績ではなかったので、あまり言える事はありませんが、自分では積極的に行こうと思っていたんですが、調子も上がらず、今年の世界戦からちょっとずつ落ちてきてしまっているように感じます。結果、全体的に消極的な走りになってしまったと感じています」
*岡本克哉
「オムニアムは厳しかったです。実は先週に体調を崩して病み上がりではあるんですが、もう少し走れてもいいかなとは感じました。マディソンは走りの途中で休めるので調子良く走れ、やはり病み明けなんだなと感じていました」
最新記事
Article