【ネイションズカップ第2戦香港大会】世界舞台でメダルを大量獲得!パリ2024オリンピックでのメダルが見えた、チームの大健闘と大躍進
【ネイションズカップ第2戦香港大会】世界舞台でメダルを大量獲得!パリ2024オリンピックでのメダルが見えた、チームの大健闘と大躍進
(窪木、松田、橋本、兒島)
レース名称:Tissot UCI Track Cycling Nations Cup / Hong Kong CHINA
開催日:2024年3月15日(金)〜17日(日)
開催地:中国/香港
参加選手:窪木一茂、橋本英也、太田りゆ、今村駿介、兒島直樹、松田祥位、長迫吉拓
(写真提供:日本自転車競技連盟)
ネイションズカップの第2戦が中国・香港にて3月15〜17日の日程で行われ、この大会で、チームブリヂストン選手は、大きな躍進を見せられました。
チームブリヂストン選手のみで構成される男子チームパシュートでは、2位銀メダルを獲得しました。
しかも、決勝前の一回戦では、これまでの日本記録(自己ベスト)を2秒ほど上回る3分48秒127のタイムをマークしました。
(早川メカ、兒島、窪木、松田、長迫、橋本、今村、太田)
さらに長迫吉拓を一走とするチームスプリント、すでに強豪国とみなされているプレッシャーの中で、再び2位銀メダルを獲得。
長迫自身は一走としてのタイムで、これまでの自己ベストを上回る17:382をマークしました。
(中央:長迫、左は小原祐太選手、右は太田海也選手[共にチーム楽天Kドリームス])
また男子個人種目では、その全てで上位を獲得。特にパリ2024オリンピック競技であるオムニアムとマディソンでは、最終段階まで2位につけているも、最後の最後のどんでん返しで3位銅メダルという結果に。
その場では悔しさが湧いてきましたが、振り返れば、これまでに世界大会でメダルを獲得すること自体が夢のようなことでした。
(橋本、窪木)
2018年のチーム改称から6年かかり、予選も上がれなかった悔しい時期を過ぎ、ついに銀メダルを獲得するまでに至りました。
しかも、ある個人選手の圧倒的に非凡な才能のためではなく、少しずつ力を積み上げ、チーム全体で実力を底上げしてきた結果です。
チームとして地道に積み上げてきた努力が、世界に畏怖される程の実力を身につけさせ、それを世界舞台で披露することができたのです。
(兒島)
チームブリヂストンサイクリングは、夢を、着実に現実にしていっています。
CHASE YOUR DREAM、1964年のチームの創立依頼、60年間に渡り悲願であったオリンピック自転車競技でのメダル獲得が、現実のものとして見えてきました。
>>チームブリヂストンサイクリングの歴史 https://www.bscycle.co.jp/anchor/team/history/
このレースで選手たちに一番大きく印象に残っていることを尋ねました。
今大会のリザルトもまとめています。
窪木一茂
「キツいですが、その壁、挑戦を越えないとオリンピックのメダルには届かないと思っています」

*男子チームパシュート ー 2位銀メダル
*男子マディソン ー 3位銅メダル
*男子エリミネーション ー 20位
ーー一番印象に残っていること
自分ではオリンピックを見据えて、ネーションズカップにだけフォーカスし、アジア選手権では調子を上げずに今回に賭けていました。
ですから日本記録を出せたチームパシュートの1回戦が大きく印象に残っています。驚くぐらいのパフォーマンスを発揮できました。
今年に入ってギアを重くし、走る順番を変えて、自分が四走になって長く引いたことがこの結果に大きく繋がったのかなと感じています。最後の牽引にもすごい力を出すことができました。この調子でまた次のチームパーシュートも走ります。
ーーチームパシュートの現実的なリーダーとして、チームを引っ張っている感覚はあるか?
他の選手に厳しいことを言うこともあります。でもそれは自分で自分を戒めて部分もあるので。もちろん自分もギアをかける(重くする)などして挑戦し、みんなにもギアをかけてほしいから、自分はこういうギアだよって毎回言ったりしています。
やっぱりギアをかけてもっと速いスピードで走らなくちゃいけない。みんな「踏めない」とか「きつい」とか言うんですが、その壁、挑戦を越えないとオリンピックのメダルには届かないと思っています。
橋本英也
「結果として銀メダルを逃した銅メダルでしたが、重要なレースで結果を残すことができました」

*男子チームパシュート ー 2位銀メダル
*男子マディソン ー 3位銅メダル
*男子オムニアム ー 8位
ーー3種目に出場したが、全体で大きく印象に残ることは?
最高ではないですけど、ほぼ最高に近いものだったと思います。
1番重要な種目であるチームパシュートで、3分48秒台のタイムと銀メダル獲得できたっていうのがとても良かったです。
パリ2024オリンピックでメダルを獲得するために、ネイションズカップでしっかり結果とタイムを出すというのが第1のフォーカスだったので、それを達成できたのが良かったです。窪木さんを始めチームメイトに感謝したいという気持ちが大きくあります。
マディソンはレースが始まって5周ぐらいで、周りを囲まれて転倒してしまいました。どうなるかなと思いましたが、窪木さんに助けてもらい、最後まで諦めない走りができました。
序盤は結構痛かったんですけど、残り半分ぐらいになってから体も回復していけるようになって、最後のラップも踏むことができて。
結果として銀メダルを逃した銅メダルだったんですが、パリ2024オリンピックでどの種目に選出されるかという、日本の中でも重要なレースであった中でメダルという結果を残せました。
今回はオムニアムはあまり良くなかったのですが、勝利の女神の采配というか、窪木さんとパリ2024オリンピックを走れるかもと想像しただけで、面白いです。
チームパシュートでもメダルを狙える位置にいて、マディソンを走る確率も高くなると思っています。オムニアムは、東京2020オリンピックで経験させてもらっているので、楽しみですね。
これまで東京2020オリンピックが終わったあとにもずっとサポートしてきてもらったブリヂストンをはじめ、いろんな方々に感謝してパリ2024オリンピックに臨みたいです。
太田りゆ
「これまで失われていた、一生懸命自分を磨いてきた輝きが、この大会で取り戻せた気がしています」
*女子ケイリン ー 9位
*女子スプリント ー 17位
ーーこの大会を振り返って思うことは?
前回のアデレイド大会で、太田りゆとしてここまで自分で一生懸命自分を磨いてきた輝きみたいなものが、全部失われてた気がしていました。
それがこの大会でふと戻ってきて、目に力も入った。なんていうか、光を取り戻せた気がして、そこがすごく良かったなと思いました。
ーー具体的にはどの競技の、どの瞬間で感じた?
スプリントの対戦です。負けてしまったんですが、変なレースをして、すごく下手くそで。なんでそんな負け方したのっていう負け方をしたんですが。
でも私としては、全力で踏んで、全力で負けたんです。今までやってきたレースのやり方が、得意のスプリントの走りだったり、そういうものが全くできず、あの時に思いっきり踏んで、思いっきり思いっきり間違って負けたんです。
でもその時に「これで大丈夫、明日のケイリンは大丈夫だ」って私の中で感じられて。その時に、ここまで不安だった要素っていうのがふわっとなくなりましたね。
ーーそれが次の日のケイリン準決勝勝ち抜きに繋がった?
そうですね、予選もまくりきれなかった時点で、この後があるから、無駄に脚を使うのやめようって、ふっと切り替えてレースをやめたんですよね。
今までだったら「もしかしたら」と脚を使ったりしていました。敗者復活戦では絶対1位で勝ち上がらなくては「いけなかったんで、上手く判断してスパッとやめた。
でも仕掛けるタイミング、まくりに行くタイミングっていうのは間違ってなかったと思っていました。ただちょっと外にふくれて、風の抵抗を受けない位置に入れなかっただけでタイミングは良かった。今、私はレースを見れてた、自分のタイミングが分かったっていうところで、敗者復活戦も絶対大丈夫だと思いました。
ここでフーっと周りも見えて。敗者復活戦も勝つしかなかったし、ここで勝てばパリ2024オリンピックという道に、本当に大きく足を踏み入れられる。
東京2020オリンピックでの選考では、世界選手権のスプリントで負けた瞬間に、私の東京2020オリンピックは終わったんです。ここでダメだったら、それと全く同じになると思って。
ここで私ががんばるのか、がんばれないのかが、ここまでやってきたことの全てのようなもの。ここでできなきゃ、私のこれからは全然違うと思ってやった結果、本当に、距離は長かったかもしれないけど全力で逃げて、最後まで踏ん張れました。
自分は成長したと思っています。選手としてという以上に、人間として強くなったなと。あの時とは違うなと思いました。
今村駿介
「限られた時間の中で良いパフォーマンスを出すためのコンディション作りに、出来る限りを尽くします」
*男子エリミネーション ー 4位
*男子マディソン ー 12位
ーーこのレースで印象に残っていること
今回は日本チームの活躍ですね。自分に関しては何もなかったと感じているので、何のコメントのしようもありません。
エリミネーションは最後の冷静さに欠けていたと思います。残りたいという気持ちと脚の使い方とのバランスです。最後6名ほどに残るまでは悪くはなかったんですが、もう少し脚を温存しながら走れていたと思います。マディソンでは兒島との連携不足を感じられました。
ーーこの結果を踏まえ、今後の走りは
次のレースまで期間が空いているので、心も体も休め、限られた時間の中で良いパフォーマンスを出すためのコンディション作りに出来る限りのことを尽くします。
兒島直樹
「個人的に楽しみにしていたオムニアム、そこで優勝できなかったのがすごく悔しいです」
*男子チームパシュート ー 2位銀メダル
*男子オムニアム ー 3位銅メダル
*男子マディソン ー 12位
ーー一番印象に残っていることは?
チームパシュートですね。みんなでずっと強化を続けてきて、ずっと3分50秒を切りたいという想いがみんなあった中での48秒台という記録。それは本当にすごく嬉しいですし、これからにも繋がるので、それが一番印象に残っています。
ーーそのタイムを出すために、自分はどれだけ貢献を?
今回はあまり力になれなかったので。でも、僕が不調な時でもタイムが出るのがあり、そういうのがチームパシュートではあるのが現実です。みんなで助け合い、協力し合いながら走れるのがすごくいいところです。全員でオリンピックを目指して走っていきたいと思ってます。
ーー一方で、高く評価されたのはオムニアムでの3位銅メダル。 それを自分でどう理解するか?
年初に立てた目標の一つが、そのネイションズカップでのオムニアムでの優勝でした。みんなで目指していたのはチームパシュートでしたが、個人的にオムニアムもすごく楽しみにしていたので、そこで優勝できなかったのがすごく悔しいです。
でも悔しいのもあるんですけれど、メダルを獲れたのは自信にも、これからにも本当につながります。
ーーあのレースは苦しいものだったか?
苦しかったですね。最後のポイントレースが苦しかったです。それまでの3種目はレースをすごく楽しみながら走っていたんですが、ポイントレースでは総合2位からのスタートになり、勝ちを意識しすぎるあまりに動きも硬く、視野も狭くなって、展開を全然見られなかったっていう部分がありました。その辺の冷静さというのが、もっともっと経験で補える部分なのかなと思うので、もっと経験を積んでいきたいなと感じました。
松田祥位
「一回戦を走る最中は、勝ってやる! ここで勝ってメダルを確定させようという感じでした」
*男子チームパシュート ー 2位銀メダル
ーー印象に残っていること
バンクが重い中で、(3分)48秒台というタイムが出た1回戦です。予選も3位通過で、これは、いいことあるぞ、と。
勝てば決勝、負けたら3位4位。絶対にメダルは確定させたいということで、ニュージーランドとの差も0.7秒ぐらいだったので、対面ならイケるんじゃないか、イケるぞって言って。勝って銀メダル確定させようと、相当ポジティブでしたね。
走っている最中は、勝ってやる! ここで勝ってメダルを確定させるという感じで。これまで世界の舞台で僕らは3回戦目を走ったことがなかったので、だから3位をかけて走るよりも、ここで勝ち切って金か銀で確定させて、僕らの走りをしようという感じで走りました。ペースは速かったですけど流れていたんで、いい感じでした
決勝戦もたぎってましたね。僕的には、1周目に20秒ちょい、2周目で14フラット、3周目で13.7という感じで、相当上げていきました。ちょっとたぎりすぎて速かったかなっていうのはありましたが、でもそれぐらい出さないと勝てないなと思っていたので。
それまでのタイムは僕らが3分48分1で一番だったので、そしたら彼らが速すぎました。でも、戦えた、という感じがして、とても良いレースになりました。
長迫吉拓
「感触的に噛み合ってない感覚の中でのベストだったので、そこはポジティブに捉えています」
*男子チームスプリント ー 2位銀メダル /一走での自己ベスト更新:17:389 > 17:382
ーー今回は銀メダル獲得に自己ベストの更新、良い結果に見えるが自身の感覚は?
今大会は全部の強豪チームが出場し、ピリピリ感があった中でのこの結果でした。ですが去年の世界選手権からこのオリンピックまでの間に、僕が出る大会は2大会、その中で僕の中で17秒2を出したかったなというのがあって、そこに届かなかったっていうところが悔しいです。
去年の全世界選手権での自己ベスト更新は、自分の中でうまくいった感覚があってのタイムだったので手応えはありました。ですが今回は全力を出したつもりなんですけど、走っていて気持ち良さを感じなかったというか、感触的に何か噛み合ってない感覚があった中でのベストだったので、そこはポジティブに捉えています。
ーー2位銀メダルに対する印象は?
(強豪の)オランダが失敗したんですが、その内容としては、2走のハリー・ラブレイセン選手が体調不良で出れなくなってしまい、急にメンバーが変わったらしく、それで失敗したと聞いています。
そしてトラックの走り心地が良くなくて、他のチームもなかなかタイムが伸びてこなかった中で、決勝の3位決定戦で、中国が僕たちを上回るタイムを出したというのが悔しいです。
1、2決定戦に行けたっていうところはすごくポジティブではあります。また僕たちもメダルを取らなきゃいけない、取って当然というところにいると思っています。その中でまたメダルを取れたというところがほっとしているところもあります。ですがその中で、自分たちの思ってた結果が出なかったところに悔しさが残ります。
チームブリヂストンサイクリング選手
ネイションズカップ第2戦香港大会 リザルト
*男子チームパシュート リザルト
>>レポート
1 デンマーク 追抜き勝
2 日本(窪木一茂、橋本英也、兒島直樹、松田祥位)
3 ニュージーランド 3:51.664
*男子チームスプリント リザルト
>>レポート
1 オーストラリア 42.274
2 日本(長迫吉拓、太田海也、小原祐太)42.958
3 中国 42.795
*男子エリミネーション
1 PERRETT William(イギリス)
2 HESTERS Jules(ベルギー)
3 FRISLIE Graeme(オーストラリア)
4 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
20 窪木一茂(日本)
*女子スプリント
>>レポート
1 FINUCANE Emma(イギリス)
2 GROS Mathilde(フランス)
3 FRIEDRICH Lea Sophie(ドイツ)
17 太田りゆ(日本)
*男子オムニアム リザルト
>>レポート
1 GATE Aaron Murray(ニュージーランド)144pts
2 NILSSON JULIEN Oscar(フランス)143pts
3 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)133pts
*女子ケイリン
>>レポート
1 FINUCANE Emma(イギリス)
2 HINZE Emma(ドイツ)
3 LYSENKO Alina(ニュートラル アスリート)
9 太田りゆ(日本)
*男子マディソン
>>レポート
1 ニュージーランド 45pts
2 スペイン 35pts
3 日本(窪木一茂・橋本英也)35pts
12 チームブリヂストンサイクリング(今村駿介・兒島直樹)-13pts
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