【トラック世界選手権】男子スクラッチで窪木が世界チャンピオン!/男子チームスプリントで長迫が銅メダル/男子チームパシュート4位に

【トラック世界選手権】男子スクラッチで窪木が世界チャンピオン!/男子チームスプリントで長迫が銅メダル/男子チームパシュート4位に


(窪木)

レース名:UCIトラック世界選手権
開催日:2024年10月16日〜20日
開催地:デンマーク/コペンハーゲン・バレラップ
チームブリヂストンサイクリング参加選手:
窪木一茂、今村駿介、河野翔輝、兒島直樹、松田祥位、長迫吉拓

2024年10月16日〜20日までデンマーク・コペンハーゲン、バレラップにて開催された、UCIトラック世界選手権。ここでチームブリヂストンサイクリング選手が世界チャンピオンに輝きました!


(長迫、太田選手、小原選手)

17日の男子スクラッチで窪木一茂が優勝。これまでこの種目の世界選手権で2年連続で2位となってきましたが、ついに金メダルを獲得しました。
そして16日には長迫吉拓が1走を務める男子チームスプリントが、銅メダルを獲得しました。両競技ともに、日本の世界選手権での歴代最高順位となります。
さらにチームパシュートでは、これまでの世界選手権での最上位となる4位を獲得しました。


(窪木)

今年、創立60年を迎えたチームブリヂストンサイクリングから、ついに世界チャンピオンを輩出できました。この記事では、10月16〜17日に行われた男子スクラッチ、男子チームスプリント、男子チームパシュートの結果をお伝えします。

写真/日本自転車競技連盟


【男子スクラッチ・優勝】/窪木が中盤から一気に加速、最後は独走で世界の頂点へ!

2024/10/17 出場選手:窪木一茂


(窪木)

ロードレースのように先着フィニッシュ順で順位がつくスクラッチ。ラップ(周回追越し)が成功すると、その後は同じ集団にいても一周先行した順位となるため、非常に有利です。そのため多くの選手が序盤からラップ獲得を目指し、何度もアタックを試みます。

アタックが繰り返されるとても速いペースでの展開、窪木はレースの中盤あたりまでは、先頭に出ることなく、集団の中に位置しています。残りの距離が半分ほどになったあたりで、窪木は集団の先頭に出て、2名の先行選手に一気に合流、数周回でラップを獲得して有利な立場となります。

「逃げは決まりにくいと思ったので、先頭を見て流れや動きを確認しながらも、後方で目立たないように体力温存に徹しました。
中盤で一度集団が崩壊して、ペースを落ちているのを感じ、周りを見ると疲れているようだったので、これは今がアタックポイントだと思いました」(窪木)

ラップを一気に決めて、集団の中に戻った窪木。ですが、その集団の中でラップを獲得したのは窪木ら3選手。仮にこのままフィニッシュすると、窪木を含んだラップ選手が上位3位に。そこから何名もの選手がラップのチャンスを掴むべく、積極的に逃げに挑戦します。

いくつもの逃げが乱立しながら周回は進みます。残り13周、一人でアタックした選手を窪木は集団から一人抜け出して追走します。その選手を数周回かけて追い抜くと、そこから一人での独走先行となりました。


(窪木)

「ここでひとり逃げになることは全く考えていませんでした。体が勝手に反応しました。何かあっても、最後は得意のスプリントで豪快に自力で行こうという考えではありました」

残り5周、窪木が独走を続けます。集団とは半周近くの差。優勝への望みがあるラップ済みの選手たちが何名も追いすがりますが、窪木との差は縮まらず、フィニッシュは少しずつ近づいてきます。

「優勝できるか半信半疑でした。最後まで諦めずに、と言う気持ちで、周回板を見て走り続けました」

そして誰も窪木に追いつけないまま、窪木は独走で走り切ってフィニッシュ。悲願であったこの種目での優勝を、世界チャンピオンの称号を獲得しました。


(窪木)

レース後、世界一の証であるアルカンシエル(レインボージェージ)に袖を通した窪木は、こうコメントしました。

「いまだに信じられません。この種目に出場が決まってから、アルカンシエルに欲を出さないように心がけ、無我の境地になれればと思っていました。

とにかく、いつもいつも応援してくれる周りの方々に大変感謝したいです。そしてこの世界一が日本の多くの方々に勇気を与えられ、また、日本の自転車競技がますます発展していくことにつながって欲しいと願っています」


(窪木)

*リザルト UCIトラック世界選手権 男子スクラッチ 2024/10/17
1 窪木一茂
2 HANSEN Tobias Aagaard
3 PETIT Clement
>>リザルトPDF


【男子チームスプリント・3位】/長迫1走の日本チーム、種目日本初の世界選手権メダル!

2024/10/16  男子チームスプリント
 出場選手:長迫吉拓、太田海也、小原佑太


(長迫、太田選手、小原選手)

先のパリ2024オリンピックではメダルを逃し、さらにトラック競技を続ける決意をした長迫。ロサンゼルス2028オリンピックを目ざす第一歩として、世界選手権に挑みます。

予選でのタイムは全体で3位となる42.998をマーク。対戦ラウンドとなる1回戦では、コロンビアを相手に42.744のタイムで勝利。このタイムは全体の3位のタイムとなり、日本チームは3・4位決定戦に進みました。

 >>予選リザルト
 < a href="https://prod.server.tissottiming.com/file/0003170104010902FFFFFFFFFFFFFF02">>>1回戦リザルト


(長迫)

決勝ではイギリスとの対戦となり、長迫はタイミングもピッタリでスタート。途中、2走の太田海也選手から3走の小原佑太選手が離れてしまうような場面もありましたが、結果イギリスを上回るタイムでのフィニッシュ。3位銅メダルを獲得しました。


(長迫、太田選手、小原選手)

世界選手権・男子パシュートでは、日本史上初の表彰台・メダル獲得。長迫にとっても、世界選手権でのメダルは、BMXを含めたこれまでの競技人生の中で初めてです。
ですが長迫は、この結果を手放しで喜べるわけではないと伝えました。

「今回の世界選手権は、オリンピックが終わってひと段落ついたというチャンスでした。優勝を狙っていくつもりで走りました。ただ走った3本すべてが平均的で、タイムも自分の中では良くなかったと感じています。

特に1回戦で、1・2位決定戦に進めなかったことの悔しさが、今大会で一番印象に残っています。ここで、1・2位決定戦に進めたオーストラリアと0.1秒ないぐらいの差で負けてしまいました。

決勝での走りは、気合は十分に入っていて走りの感覚では、この日の3本の中では一番速かったのかなという印象だったんですが、タイムは一番遅かった。

もうちょっといけたのにと思い、それを素直に喜べてない自分がいますが、それでも世界で3位です。僕たちの初めてのメダルという嬉しさがあり、何かを一つ成し遂げたという感覚はあります。」(長迫)


(太田選手、小原選手、長迫)

*リザルト UCIトラック世界選手権 2024/10/16 男子チームスプリント
1 オランダ 42.046
 (HOOGLAND Jeffery、LAVREYSEN Harrie、van den BERG Roy)
2 オーストラリア  42.673
 (CORNISH Thomas、ELLIOT Ryan、HOFMAN Leigh)
3 日本  42.877
 (長迫吉拓、太田海也、小原佑太)
>>リザルトPDF


【男子チームパシュート・4位】世界選手権での最高順位を獲得。確実に強く速くなっているブリヂストン選手たち

2024/10/16 - 17 男子チームパシュート
 出場選手:窪木一茂、今村駿介、松田祥位、兒島直樹、河野翔輝

チームパシュートは、予選を松田祥位、河野翔輝、兒島直樹、窪木のメンバーで走りました。2走に入った河野は、世界大会でチームパシュートを走るのは初めてで、世界選手権にも初めての参加です。

予選は一走である松田が通常よりも長く引くという戦略で挑みます。いつもよりも長く引いた松田でしたが、

「予選では、僕も最後まで引く予定だったんですが、走れませんでした。最後までつく走りもしたことがなかったので、うまくいきませんでした」(松田)

さらに、最後のフィニッシュまで窪木が先頭を引く間、後方で河野のペースが落ち、隊列は乱れてしまいます。それでもタイムは3:57.300、結果は全体6位で1回戦に進出します。

>>予選リザルトPDF (松田、河野、兒島、窪木)

予選で6位のタイムだったため、1回戦では、3・4位決定戦進出を目指して走る日本チーム。今度は2走が今村に変わっての走りでタイムは3:54.826。対戦相手のカナダに1秒近くの差をつけて下し、3・4位決定戦へ進みます。

>>1回戦リザルトPDF (今村、兒島、窪木、松田)

チームブリヂストンサイクリングのチーム員で構成されるチームパシュートのメンバー。これまでの数年間も、チームブリヂストンサイクリング選手のみで構成される日本チームとして走ってきましたが、世界選手権で3・4位決定戦に出場するのはこれまで初めてです。昨年の世界選手権では初の予選通過となりましたが、1年経ってチームはさらに成長し、ついに表彰台を狙える位置まできました。

銅メダルを目指す走り、相手はドイツでした。松田・今村・兒島・窪木のメンバーで挑む日本チームは最初の入りからペースをあげ、序盤はドイツをリードする走りでしたが、次第にタイム差はちぢみ、ドイツに先行されます。

松田が離脱し3名になったのち、残り2周の時点で今村と兒島が接触し、兒島が転倒してしまいます。これにより日本チームはここで棄権、ドイツが勝利し、日本の結果は4位となります。

悔しい結果となりましたが、日本が世界選手権にて4位を獲得するというのは初めてのこと。予選を通過することすら難しかった昨年から比べると、大きな飛躍といえます。

その偉大な跳躍を、初めての世界選メンバーとして走った河野。その思いをレース後に聞きました。

「今回は予選だけ走って、結果的に悔しい思いをしました。周りのレベルの高さや世界チャンピオンになった選手の姿を見て、決定戦を走れなかった自分を含めて悔しいなと思います。

でもだからこそまた国際大会に戻ってきて、次は自分がその舞台に絶対立ちたいと思いました。立ち止まっている暇はないなと強く感じます」(河野)


*リザルト UCIトラック世界選手権 男子チームパシュート  2024/10/17
1 デンマーク 3:45.642
 HANSEN Tobias Aagaard、BEVORT Carl-Frederik
 LARSEN Niklas、MADSEN Frederik Rodenberg、PEDERSEN Rasmus (R)

2 イギリス 3:45.963
 HAYTER Ethan Edward、CHARLTON Josh
 TANFIELD Charlie、WOOD Oliver、BRITTON Rhys (R)

3 ドイツ 3:35.707
 TEUTENBERG Tim Torn、BOOS Benjamin
 JOCHUM Ben Felix、KESSLER Bruno、GROSS Felix (R)

4 日本 DNF
 松田祥位、今村駿介、兒島直樹、窪木一茂、河野翔輝(R)

>>決勝リザルトPDF

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