BRIDGESTONE ANCHOR 2025P-AN1
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6%UP24%UP4%DOWN9%DOWN新ETRTO (新型)旧ETRTO (従来品)新ETRTO貫通強度R1XR2X転がり抵抗現行R1X現行RR2X(基準)100新型R1X新型R2X115耐摩耗R1XR2X33EXTENZAの開発にあたってはシミュレーションや試験機による定量評価を基礎にしつつ、ライダーが乗った時にどう感じるか、選手がレース機材としてどう評価したかのフィーリング評価も重視した。選手が求める要件を一つ一つ分析・評価し、 エンジニアと選手が意見交換をしながら、レースで戦う機材を開発するプロセス。これはRP9の制作過程で繰り返されたブリヂストンサイクルの強みでもある。歴代のEXTENZAシリーズを開発してきた高橋寛彰は、「ある程度数字で評価ができるタイヤの性能は、試作の段階でかなり追い込んだ開発が可能です。しかし、客観的な数字と、プロが求める本当の性能は、必ずしも一致するとは限りません。そのバランスをどう※従来品を基準とした貫通強度(突き破りにくさ)※従来品(RR2X)を基準に転がり抵抗を数値化ディスクブレーキの採用によってホイール周りの制約がなくなった昨今、リム幅は拡大している。またそれに伴いタイヤ幅もかつての23Cから25C、さらには28Cへとワイドなものが基準となった。EXTENZAでは単にタイヤを太くするのではなく、新ETRTO規格に適合させ、現代的なホイールのリム幅で最も性能を引き出せるトレッド幅を探求。その結果、従来品から15%トレッド幅が広くなり、ドライ・ウェット路面のコンディションを問わず安定したコーナーリング性能を実現した。さらに、耐パンク性能の向上も図られた。単純にパンクリスクを低減させることは難しくないが、グリップや転がり抵抗を損なわないようすると途端に難易度が増す。タイヤの構造から見直し、バランスを取りながら慎重なアップデートが行われ、R1Xにおいてはケブラー製のパンクプロテクターの配置変更に加え、トレッド厚をアップ。貫通しにくさを6%向上させることに成功した。タイヤ幅の拡大や素材増強といったこうしたアップデートは転がり抵抗を増す方向に傾くがトレッドのコンパウンドを見直すことで従来品比4〜9%の抵抗減を実現。耐パンク性能と転がりの良さの両立は特筆事項だろう。現代ロードレースを走る上でチューブレスタイヤの重要性が増している。これもディスクブレーキとワイドリム化に伴うトレンドだが、すでに世界トップレベルのレースシーンでチューブラーが置き換えられている現状を鑑みて、EXTENZAがチューブレスレディ化することは必然でもあった。高い性能を保持したまま、より整備性のよいチューブレスレディがレース現場の選択なのだ。「プロがレースで戦えるタイヤ」はこうして完成した。その開発過程には、プロの声が生かされている。データと感覚、この2つの要素がいかに新しいEXTENZAを生み出したかを、次項でご覧頂こう。取るかが開発の肝となります」と語る。ライダーとして開発に関わったチームブリヂストンサイクリングの河野翔輝は、高速化するレースに対応できる、コーナーでのグリップ力に優れるタイヤを求めていた。コーナーリングは選手の感覚が鋭敏になる部分でもあり、そうしたフィードバックを受けて開発陣はさらなる試作を繰り返した。そして結実したのが、河野をして「安定感がかなり増し、挙動が急激に変わるようなことが本当に少ない」タイヤ。「雨でも晴れの日と同じように余裕をもってコーナーを曲がれる感覚があります」と太鼓判を押す新しいR1Xだ。先入観なくテストをし、忖度なく評価をし、データには表れない感覚をすくい取る。ブリヂストンサイクルの矜恃ともいえる入念な開発を経て血の通ったレーシングタイヤ、新R1Xがここに完成した。※従来品比(コンパウンドは新旧ともにグレード共通)。トレッド1mmあたりの走行可能距離から計算。※従来品 R1X : F301131BL(R1X-7025) RR2X : F301156BL(RR2X725A)トレッド幅摩耗しにくさ82100789127%UP15%幅広化データが示すEXTENZAの進化相反する要素を共存させるために血の通ったレーシングタイヤ誕生秘話数字だけではいいタイヤは生まれない

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